小手先ではない本当の解決のためには底を突く体験が必要です。
家族の問題を丁寧に伺っていると、その背後に隠されているさまざまな家族の問題が見えてきます。たとえば親が病気や障害を抱えていたり、嫁姑関係などの義理関係や自分の親との関係が長期にわたり未解決だったり、夫婦間の信頼関係とコミュニケーションの問題などです。これらを取り上げると焦点が拡散して収拾がつかなくなるから、あまり深く掘り起こすべきではないという考え方もあります。私はその意見とは異なり丁寧に広げていくことがとても重要だと考えます。語らない問題を扱うことは出来ません。語ることによりそれが解決されなくても、語ることが出来ない特殊な問題から、言葉で説明できる普遍的な問題に変換されます。問題を抱えていることが悪いのではなく、そのことにしっかり向き合えば、ごまかしのない自分になれます。
しかし、心の底まで降りてゆくのはとても怖い体験です。せっかく作り上げてきた自我を一旦崩すことになりかねません。この作業はひとりでは不可能です。支援者の役割はこの辛い作業に付き添うことです。底まで到達した人を受け入れ、承認します。そうやってごまかしのない自分と風通しの良い家族関係が生まれることで、ひきこもりなどの問題も自然に解決します。
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