2020年4月30日木曜日

緊急オンライン診察(無料)

新型コロナウィルス感染症のため、精神科・心療内科の診療を受けたくても、医療機関に出向けない方々が多くいます。
そのような方々のために、2020年5月1日より無料のオンライン診療を開始いたします。

期間:コロナウィルス感染症による緊急事態宣言発令中(その後もオンライン診療は継続しますが、有料となります)
対象となる相談内容:精神科・心療内科領域の相談は何でも受け付けます。
治療者:田村 毅(私の専門領域・診療方針などはウェブサイトをご参照下さい)
相談手段:Zoomを用いた遠隔地からのオンライン診療

申し込み方法・相談手順
  1. 田村毅研究室公式LINEに登録してください。
  2. LINEより、オンライン診療希望のメッセージをお送りください。簡単に相談内容をご記入ください。
  3. 田村よりお返事を差し上げます。相談の日時を決めます。
  4. 田村より相談内容に関していくつか質問をさせていただきます。診療日までにお答えください。
  5. 当日、お知らせしたZoom IDにアクセスしてください。
  6. 相談は30分程度です。
田村毅研究室公式LINE
登録方法
こちらをクリックしてご登録ください。
https://lin.ee/wjTRzBH

登録しますと、次のことができます。
  1. メルマガ機能)このメルマガと同様に、LINEでのメルマガをお届けします。
  2. メール機能)従来の電子メールと同様に、個別のメッセージのやりとりができます。
お問い合わせ、予約などにご利用ください。

注意事項
  • ご相談は、通常の対面相談と同様に、お困りの点を伺い、それについて治療者と対話して問題解決を図ります。
  • お薬の処方はできません。
  • オンラインでは確定診断を下すことができません。したがって診断書は発行できません。その代わり、確定診断ではなく、オンライン相談による専門家としての意見をまとめた「意見書」は発行できます。別料金となります。
  • 無料の相談は初回の1回に限ります。継続して相談をご希望の場合は2回目以降有料となります。
  • 本件に関するご質問は、公式LINEからメッセージをお送りください。

2020年4月29日水曜日

緊急Zoomミーティング(1)

4月29日、ゴールデンウィークが始まり、
STAY HOME
が世界中で叫ばれている中、第一回のZoomミーティングを行いました。

10名の方が参加しました。
Zoomを扱うのが初めてという方もいましたし、メカがそれほど得意そうな様子でもない方もいました。内心、うまく使えない方も何人か出てくるかなぁ、、、と想像していましたが、そんなことはありません。
最初は戸惑いつつも、みなさん見事に使いこなしていました。

チェックイン:みなさんが問題なく繋がっていることを確認して、発声練習をした後、
・緊急事態の中の、今の私の体験
今の気持ち
について、私が口火を切った後、みなさんに自由に語って頂きました。
みなさん始めはコロナの直接的な影響について話していましたが、色々な意味で、だんだんと内容が深まり、お互いによくシェアリングできたと思います。

不安を語り、分かち合い、受け止め合うことの大切さを実感しました。
語ったからと言って、状況が変わったり、不安が無くなったりはしません。
しかし語ることにより、孤独に耐えられない不安から、他者によって認めら、「市民権を得た」不安に格上げされたようなイメージを持ちました。
不安が整理されると、その背後に隠れている安心や自信も見えて来るように思います。

みなさんが共有した話題としてひとつ印象に残ったのは、
今は辛い・苦しい状況ですが、
もしかしたら今がチャンスなのかもしれない。
今まで我々が信じ、共有してきた正しさや普通であること、こうあるべきことなどがあやふやになり、不確実な状況です。
本当の正しさって何なんですようか、ないのでしょうか?
それは、危うく、不安な状況ですが、それと同時に、新たな価値観が生まれてくる隙間もあるのではないか。
こんなようなことも話し合われたように思います。
------------------

続けて、参加者からの振り返りをご紹介します。

 ミーティングに参加させて頂き、ありがとうございました。終わった後、なんともいいようのない爽快感があり、元気をもらった感じがしました。
 オンラインを使って複数の方と話す経験は初めてで不安が少しありましたが、会が進むにつれて緊張がほぐれ、それほど気にならなくなりました。オンラインだと全国の方と繋がれるので、とても新鮮でした。
 参加された方が専門職の方が多かったせいかとても話しやすく、とても生産的なメッセージを頂けたことは本当に心強かったです。初対面であってもまるで私の味方でいてくれるような、なんとも言えない温かい気持ちになり、とても嬉しく、勇気を出して吐き出して良かったなと思いました。「私は一人ではない」という安心感を感じました。今日のミーティングで出会えた方皆さんに感謝しております。
 又、私は田舎に住んでいますので、コロナの脅威は感じていますがまだ余裕があるなと思いました。東京都やまさに今医療の現場にいらっしゃる方のお話を伺って、テレビではなく生のお声を聴くことで改めてコロナの脅威を感じました。しかしながら、田村先生のコロナに対するお気持ちを最初に伺っていたので、その恐怖が自分の中で暴走することはなかったです。
 お陰さまで今夜はゆっくり眠れそうです。(*^-^*)本当に今日は貴重な体験をありがとうございました。

 日常の生活の中ではできない体験でした。
オンラインでのコミュニケーションは、実際に対面するよりも難しさがあると思っていました。でも、環境がある程度整えば、距離のある方々と関われるので、よいツールと出会えたと思います。
 今日のミーティングを経験して思うのは、「受けとめる」ことが大切だな、ということです。今はコロナ関連で様々な不安を耳にすることが多いのですが、そんな時だからこそ見えてくることがあるし、自分の新たな面に気づかされることもあります。
 職場の方々との人間関係のお話がまさにそうだと思いますが、精神的に余裕がない時こそ関係がトゲトゲしてしまったり、他者に攻撃的になってしまう人がいたりするのだと思います。自分もおだやかでいたいし、周りの人たちにもおだやかでいてほしいのですが、何かあっても「まぁ、仕方ないなぁ。」と受けとめられたら、と思います。
 今のような状況だからこそ気づく「強さ」ということがミーティングの話題で挙がって、その後考えてみました。ものの見方を変えてみたり、とらえ方の幅を広げたりすることで、心が楽になれるのだと思います。今日のように、いろいろな方の経験や考えに触れられること、すばらしいことですね。

とても良い経験となりました。
掲載されたものと、皆さんのお話がどうしたら効果的か、考えながら参加していました。その点について、田村先生の助言をください。
田村)どういう助言ですか?
そのままお気持ちを書いていただければいいんですけど。
あんなので良かったのかな?と思って。
こんな私でいいのかなという皆さんがエンパワーされるのがミーティングの趣旨ですから。
了解しました。


●ことコロナ禍に関しては、内省し過ぎて様々な思いがあり、言葉に置き換える作業をしていくと止まらない感があります。
LINEでシェアしましょうと呼びかけられた時も、とても手に負えない大きな感情が自分の中で動いていて‥、それは負の感情だけではなく、新しい自分への気づきだったり、逆境だからこそ感じられる感謝だったりもするのですが。
29日のミーティングがzoomだったことに関しては、自分はオフィスで参加して他の方がzoom参加だったことを含めると、かなり回数を重ねていたので、不安はありませんでした。むしろ、対峙しての緊張感から少し引くこともでき、楽になれるところもありました。それは直接出会っている時の良さの対極にあることなんだろうなとは思いますが‥。コロナ禍を差し引いても、大森や高山まで出かけるということに様々な負担が伴う現状のわたしには、zoomでのミーテイングは大きなメリットです。
29日のミーテイングは、支援者、当事者ミックスのミーテイングで、これも4月初めに続き二度目でしたが、「不登校」というキーワードが出てくると、どうしても張り切って意見を言いたくなってしまう自分がいました。「だいじょうぶ!あなたの娘さんはよくやっている!そこはかわいそうに思うところではなく、誇るところだ!」と。
そういう自分は、やはり当事者とフラットとも言い切れない感情がありました。
こう書いていて、支援者としてクライアントさんと同じ目線で‥などということは、自分は全くできていないということに向き合わされました。
このセッションはそういう意図があるのですね。
コロナ禍に関しての様々な思いを皆さんが語られる中で、特に印象に残ったことをふたつ書きます。
ひとつめは、田村先生がおっしゃったこと
・いつもは相手の不安を取り除くことに一生懸命なのに、今は「怖がらないといけません」という部分を残しておかないといけないこと(という意味に解釈しました。)
今、クライアントさんたちに会わずにする仕事のひとつとして、スクールカウンセラー通信をオンラインで発行してもらっており、その中で一生懸命に相手に向かって相手の不安を下げようとしている自分がいます。でも、いい加減なこと言って「感染の機会を増やすことになっては!?」という心配もつきまとうので四苦八苦しています。先生の言葉に本当にそうだなと思いました。
もうひとつは、参加者の方が日常にある家族との諍いが本当に辛くてここでぶちまけたいと思った!と、赤裸々に日常をお話しくださったこと。
 例えばわたしも、文字にすると本当に小さなこと‥、掃除したばかりの電子レンジの中に誰かが牛乳をこぼして、それをみた夫が「汚いな、なんだこれ」と言ったことに、ずっと頭が囚われて明るい声が出ない日がありました。その思いにはずっと重なってきたものがあって、何もその日そのことだけでそうなった訳ではありません。もちろん、夫の無神経発言も今に始まったことでもないのです。それでも、家族が物理的に危機的な状況において、この小さな家で協力して今をやり過ごすしかない。でも、前述の参加者が最後に仰られたこと「今、コロナそのものに苦しんでいる訳ではないから、そんなことで怒っていられる」という一言が、バンと胸に迫りました。今わたしが使うべきエネルギーは、夫の無神経発言に向けてではなく、この避難生活と危機的状況をどうやったら少しでも快適に過ごすことができるか、万が一のことがあった時にどう備えるか、ということだと思い出させてくれました。
 余談ですが、先日学校からの電話での健康観察アンケートに、コロナリスク最上級の息子が「ぼくは今とても充実していて幸せです。不満はほとんどないです。」と答えていたのが、たまたま聞こえてきました。少しでも居心地よく!という思いを感じていてくれたのが嬉しかったです。

緊急事態:Fさんの体験

母子で生活しています。
我が家のコロナ騒動は、3月の唐突な小学校の休校に始まりました。
宙ぶらりんになった小学生の日常を支えるひと月。心身ともに疲弊したところへ、ようやく緊急宣言を受け、全社一斉の在宅勤務となり、もうすぐひと月になります。

子どもたちは、午前中は勉強タイム、午後は外に飛び出して行きます。学校から教科書とドリルの束を受け取りましたが、名前だけ書いて一度も開いていません…
学校からは、週に一度〜月に2度のペースで、小学校サイトに学年だよりが掲載されます。
学校から、保護者に対して電話で状況確認はあったのですが、
子どもたちに対する働きかけがないことに、もやっとしています。
(人数の多い学校なので仕方がないのですが)
私自身が小学校に求めていたのは、
子どもたちにとっての生活の場だった(それが今、阻害されている)と感じています。

2020年4月28日火曜日

緊急事態:Eさんの体験

不登校からひきこもりを経てやっと障害者就労につながったものの、
ひきこもり→就労→ひきこもり
の繰り返しをしつつも年明けから少しずつ落ち着いてきてところに、この緊急事態で就労先の会社は長期休業の為、自宅待機のASDの娘。
他には社会的つながりの場所を持たない娘にとって、この状況をどのように受けとめていくのだろうかと観察していたところ、早速 自分の部屋でひきこもり生活を始めました。しばらくすると時折 家族の生活に交じり始めました。
 当初は衝動的な言動で家族にあたることがあり心配しましたが、しばらくすると徐々に落ち着いてきました。
ちょうど社会的自粛で世の中の空気がトーンダウンしてきた頃でしょうか。我が家の近所も人や車の通りがめっきり減り、日中でもひっそりしています。

親としては現実的に心配なこと(仕事がなくて自分の生活費どうするのかな?など)多々ありますが、案外とのほほんとしている本人を見ていると、自分のペースでゆっくりと誰にも気兼ねなく自分の時間を過ごせることがこんなに本人にとって安心なのだと実感しています。
娘は今まではすごい緊張感?の中を生きていたのかもしれないと思うと、親としてもっと早くに気がついてあげられていればと、本当に申し訳ない思いの今日この頃です。

緊急事態:Dさんの体験

今はただただ疲れています。

休校になって、登校日も無くなり、マンツーマンで勉強を教えて頂いていた補習も無くなり、、、
娘からの攻撃が凄かったです。
「ママ~今日も仕事に行っちゃうの~!?」
「何をすればいいのかわからない!!」
「友達と遊びたい!!」
「勉強やりたくない!!」
「どうしてウチにはママしかいないんだ!!」
私が出勤のために玄関のドアを開けて外に出るまで、私の体を引っ張って自分の苛立ちをぶつけて甘えてきます。
洗濯物干しと食器洗いをお手伝いの日課にしていますが、毎朝「もう!今日は絶対やらないからね!!」と言います。(でも私が帰ってくると必ずやってくれています(笑)
宿題も「やりたくない!」「新しい先生大っ嫌い!」と言いながら、それなりにやっています(笑)
冷静に娘を見ているつもりですが、反抗期真っ只中の娘と二人、普段にも増して息苦しくなります。

コロナとは直接関係ありませんが、(いえ、もしかしたら関連しているのかもしれませんが)職場の人間関係でも疲れることがあり、仕事と家庭で気を遣い、私一人でゆっくり休む時間がほしいです。
それでも、仕事から帰ってきて娘の一輪車の練習に付き合ったり、短い時間でも一緒に娘と勉強したり、本当に私はよくやっていると思っています(´д`|||)

仕事は自粛を要請されている業種ではないので、働けることが本当に有難いです。
高齢の両親の感染リスクを考えると、あまり関わらない方が良いのかもしれませんが、娘一人で家にいることは困難なので娘が望んだときはお願いしています。

疲れて気持ちを吐き出したいちょうどこの時に、田村先生がこのような場を設けてくださり、本当に感謝しています。
長文読んで下さり、ありがとうございます。

緊急事態:Cさんの体験

①あなたの今の体験は?⇒
⭐新型コロナの感染防止対策で、休校となり、週1~2日出勤し、後は在宅勤務。
⭐今年度は新しいクラスの担任なのに、まだ対面できず。自宅には、家族がいて、少々調子が狂う感じ。
⭐学校が、休校中なうちに、目の手術をする事になり、最初は道を歩くのもヒヤヒヤしたけれども、一週間過ぎてようやく慣れてきた。
⭐一方、会社に勤務している長女は妊娠3ヶ月で、双子の懐妊。私は定年を延長する予定だが、勤務体系をどうするべきか思案中。

②あなたの今の気持ちは?⇒
⭐早く新しいクラスの生徒たちと会いたい。私にはできないが、世の中がこのような事態に陥ったのはなぜか解明したい気分。許せない。人の命を大切にして、協力して生きて行きたい。
⭐目だけでなく、あちこち、老いを感じる。
自分の持てる可能性を生かすにはどうするのが一番か悩む。しかし、人と協力して社会貢献したい。

緊急事態:Bさんの体験

私は「主婦業務」のストレスが今の課題です。

私がいたら、私が家事をする、ということになんとなくなっているため、外出自粛の今は他の人たち(息子とその父親)はほぼ何もしません。それぞれがストレスをためているのに同じ空間に長時間一緒にいるので、足が邪魔、机の拭き方が不十分、など、とっても小さなことで言い合いになることがあって、それぞれが疲れています。

「ストレスを発散しましょう」というズームミーティング開催の言葉に強く惹かれて、ストレスをためているんだな、と実感しました。経済的な不安や勤務の負荷など、大変な状況になって過ごす方がたくさんいる中、小さな課題だと思うのですが、家族で平和に過ごせることに感謝できるような心のゆとりがなくなってきています。

リモートワークになって、仕事のやり取りをメールだけでしていることでも、困ることはあります。普段のように話ができる環境であれば、直接会話をすることでお互いが配慮できるようなことでしたが、メールで質問を挙げたら、クレームをつけたかのような受け止め方をされる出来事がありました。信頼関係が十分に築けていなかったのかな、と落ち込みました。日頃、対面でのコミュニケーションにどれだけ助けられているのか気づかされました。

2020年4月25日土曜日

緊急事態:Aさんの体験

<タム研LINE広場:あなたの体験を聞かせてください>
今後、みなさんから寄せられた体験を順次ご紹介していきます。

 子どもをうちに残して、片道40分の出勤をしなければならない、なんだかな〜の体験です。(家族のありがたみ、実感します。)
知事がオンライン体制を整えると言った学校教育も地域によってまちまちで、時々プリント類を配布したり送付したりする程度、先生からの電話もこの2か月で一回。欲しいわけではないけれど、結局それくらいのものだよね、と思わざるを得ない状況です。公教育への依存度は低くなる一方で、一度解約していたオンライン学習教材を再検討したり、友達と情報交換したり、、する日々です。
 一部の熱い仲間はSNS上でダンスを教えてくれたり、有志の先生方でオンライン教育について作戦会議をしていたり、でもそんな先生は一握りなのかな〜。改めて学校ってなんだろうと、これからも必要とされるのか、と疑問が残ります。
 私的にはこれからの学校に対する価値観は、残念ながらモチベーションにつながるものとは思えない。。

 私自身にとっては新天地の職場で、右も左もわからない上に先輩方も日々変化する体制にピリピリしたり、なだめたり。。それでも職場は職員がなるべく負担を抱え込まないように不安を抱えないようにと色々情報提供してくれたり、マスクをプライベート用に5枚(笑)くれたり、体力低下予防に運動する機会を与えてくれるので、信頼感は増しています。
ちょっとしたことかもしれないけど。。意外と大切なことです。福利厚生と信頼感をつむいでいくことは組織にとってとても大切なんだなと改めて実感し、色々大変だったけど転職しておいてよかったと思います。そして、なんとか自分が感染源にならないように、、と祈る日々です。

 そう!この緊急事態宣言の中で、何が不安って、自分が感染源になることがとても不安です。
職場でも、家庭でも、地域でも
自分だけのことならまだしょうがないと思えても、やっぱり恐れてしまうのは自分が発端になること。。
もちろん感染してしまった方に対してはあなただけの責任では全然ないし、むしろ無事に回復してくださいと思っても、なお。

 メディアの煽動って恐ろしいです。
 そんなこと言ったってすぐ近くの病院で院内感染が起こっていれば、実質どこかで紛れ込まれてもやむを得ないような状況で、、じゃうちにずっといれば安心なのか、山に入れば安全なのか、確かなものは何もなく、見通しが立たない不安を生き抜くのに必要なのは鈍感力なのでしょうか。
なぞは深まるばかりです

 様々な報道に一喜一憂するよりは、自分にとって必要最低限の情報だけラジオで2〜3分、オンラインニュースで2〜3分、あとはできる最善(うがい、手洗い、消毒、マスク)を尽くして運に身を委ねるという日々を暮らしています。
 大きな目で見ると、精神疾患を持つ方とか、子育てがいっぱいいっぱいになってしまって今にも手を振り上げそうな方とか、お仕事のことで、大きな経済的不安を抱えてる方のことがとてもとても気がかりで、、みんななんとかこの修羅場を切り抜けようね!って世界にエールを送りたい気持ちです。
 やっぱり話すこと吐き出すことは命を救うと思うので、抱えすぎずに、いきたいものです。。

.....
吐き出させてくれてありがとうございます。取り留めのない長い文章ですいません。
ご一読いただけただけで感謝いたします。

2020年4月24日金曜日

私自身の今の体験と気持ち

緊急事態宣言により、普段とは違う「いま」があります。
だから、伝えるニュースもたくさんあります。
以下はあくまでいま現在(2020.4.23)の体験と気持ちです。
状況が刻々と変化している中で、それも大きく変化すると思います。

<体験>
まだ古民家の改修が終わっていないのですが、時期を早め、東京を抜け出し群馬に移住することにしました。
私は医者ですが、
医療従事者にエールを!
と感謝されるほどリスクを冒して最前線で戦ってはいません。
精神科専門の医療機関ですので、発熱など肺炎兆候のある患者さんには対応できず、お帰りいただいています。
外来に来る患者さんは激減しています。
入院患者さんは以前と変わりません。
それでも新患の方も来ます。
コロナ感染症とは戦っていませんが、普段と変わらず心療内科・精神科の患者さんの治療に当たっています。窓を開け、距離を空けて、マスクをして。

オンラインの仕事が増えました。
以前からZoomは使っていましたが、その頻度が増えました。
中国の人々への研修や治療はZoomを活用し、日本より進んでいましたが、国内でもオンラインの利用に拍車がかかったのではないかと思います。

東京でも診療していますので、月に1度は東京を往復します。
いま現在は大森にいます。
群馬県内の渋川駅や高崎駅はそうでもありませんが、東京に近づくと電車やホームには見事に人がいません。
8割は減っているんじゃないでしょうか。国民の団結力を感じます。

社会人の長男と長女は在宅テレワークを続けています。
大学4年生の次男は就活も卒業研究も捗らないと不満を漏らしながら家にいます。
通勤・通学がないのは楽ですが、いい加減きゅうくつさを感じているようです。
毎日、昼と夜の食卓をみんなで一緒に囲んでいます。

<気持ち>
志村けんや岡江久美子の訃報ニュースに触れると多少はビビりますが、
多くの人が訴えるようなコロナ感染の不安や恐怖は幸か不幸か感じません。
生きることは多くのリスクを伴います。

国内の
コロナ感染者は1万人+
死亡者は300人+

交通事故による
負傷者は年間60万人
死亡者は年間4千人

自殺の
未遂者は推定年間50万人程度
既遂者は年間2万人

ガンが
新たに診断される数は年間100万人
死亡者は年間40万人弱

人間ドックでガンが見つかることも(父親と義父がそうでした)、
道を歩いていて車が突っ込んでくることも(友人が孫を失いました)、
コロナに感染することも、
その可能性は十分に承知しています。
そのリスクを請け負わなければ、社会の中で活動できません。
そのリスクを請け負えば、リスクを恐れる必要もありません。

動物は天敵が現れると、群れのリーダーが警戒の鳴き声でいち早く危険を知らせ、群れを守ります。

安倍さんも小池さんも、よく頑張っていると思います。
アベノマスクなどと揶揄されながらも。。。

残念ながら、人は理性で自らの行動や欲望を制限できるほど賢くはありません。
感染拡大を防止するための行動制限を人間集団かけるには、理性よりも感性(不安と恐怖)に訴えるしかありません。
普段、人々の不安を取り除く仕事をしている私としては、なんとも複雑な気持ちですが、今は集団の命を守るために仕方ありません。

危惧するのは、感染が収束し人々が警戒心を解き始めた時期です。
阪神大震災や東日本大震災の時もそうでした。
ボランティア精神科医として現地に入りましたが、生き延びるのに必死な時期、人々は頑張れます。
問題は、復興が進み、緊張感を緩められる時期です。
生活がある程度落ち着くと、メンタルの問題が浮上してきます。

今が内科医が戦っています。
精神科医が戦うとすれば、もうしばらく先の話かもしれません。

2020年4月23日木曜日

緊急Zoomミーティングとタム研LINE広場

新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言!!
我々は、今まで経験したことのない未曾有の状況に置かれています。
・あなたの今の体験は?
・あなたの今の気持ちは?

<緊急Zoomミーティング:体験を語り合おう>

第一回)4月29日(水・祝)午後1−3時
第二回)5月06日(水・祝)午後1−3時

私の公式LINEアカウントから参加のお申し込みをお願いします(下記)。
Zoomの会議室IDとパスワードをお送りします。
10-20名ほどの参加を想定しています。
私から趣旨を説明した後、みなさんの体験をシェアしましょう。
もちろん、参加費は無料です。

<タム研LINE広場:あなたの体験を聞かせてください>

私の公式LINEアカウントに登録いただき、LINEでメッセージをお送り下さい。
メッセージは、私だけに届き、他の方々に直接配信されることはありません。
頂いたメッセージを私が拝見し、私のブログに紹介させていただきます。
プライバシーに配慮し、個人が特定されない形に編集しますが、それ以外の部分はそのまま掲載します。
掲載を希望しない方は「掲載不希望」とメッセージにお書きください。ブログに載せません。
内容によっては、私の方からアドバイス・コメントなどを付記させていただきます。しかし、アドバイスができるものでもなく、基本的にはみなさんの体験・気持ちを言いっ放し、受け取りっぱなしにしたいと思います。

<公式アカウントの登録方法>
こちらをクリックもしくはスキャンしてご登録ください。
https://lin.ee/wjTRzBH

いま現在の体験を伝え合おう!

新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言!

我々は今まで経験したことのない未曾有の状況に置かれています。
ウィルス伝染のため、人と人とが接することが危険です。
人々は結びつきを断ち、離れていなければなりません。
それも長期間。いつまでそうしなければならないかもわかりません。
将来を見通すことができません。
我々が多くのストレスを抱えながら過ごしています。
例えば、
  • 仕事ができません。収入が減り、経済的に危機です。
  • 在宅で仕事をしなければなりません。
  • 家から出られません。外の空気に触れられず、発散できません。
  • 人に会えません。交流できません。
  • 関係が途絶え、孤立します。
  • 逆に家で一緒にいる時間が増え、関係が近くなり過ぎます。
  • お互いのストレス・イライラをぶつけ合い、気まずくなったり、ケンカしたり。
家に留まる我慢が必要ですが、ストレスは我慢せず発散します。
身体と心の健康を維持するために、ストレスを発散しましょう。

身体のストレス:人と接しないよう留意しながら、陽の光を浴び、身体を動かしましょう!
心のストレス:気持ちを発散しましょう!

人々が物理的に繋がるのは避けなければなりません。
人々が気持ち的に安全に繋がりましょう!
我々一人ひとりの体験を気持ちを伝え合いましょう!
緊急事態宣言という同じ状況下に置かれても、
一人ひとりの体験はユニークなはずです。

我々は、我慢して、抑え込まなければなりません。
自分を抑制するのは辛いことです。
自分の体験・気持ち・考えを発信して、安全に人々に伝え、自分の心に市民権を与えましょう。
  • あなたの体験は?
  • あなたの気持ちは?
それを安全にネットで伝え合う二つの装置を用意しました。
みなさん、利用してください。

緊急Zoomミーティング:体験を語り合おう
4月29日(水・祝)午後1−3時
5月6日(水・祝)午後1−3時

タム研LINE広場:あなたの体験を聞かせてください

2020年4月18日土曜日

コロナ不安とひきこもり

新型コロナウィルス感染拡大を予防するため(このフレーズには耳ダコですが)、自宅にひきこもり、ブログをたくさん書いています。

外に出ず、ずっと家にいるのはもうやってられない。イライラしてくるわ。
あの子はひきこもりに慣れているから、どうやったら長い間ひきこもれるのか聞きたいわよ!

と冗談半分に言いますが、いえいえ、楽にひきこもっているわけじゃなく、全世界の人々が今感じているような不安を長期間にわたり抱え込み、不安を避けるためにひきこもっているだけです。

学校はお休みになり、外出を控え、友だちとの接触も避け、家にいなさい!
今は、社会の人々みんながひきこもるよう命じられひきこもりが規範になっているから、ひきこもって学校に行かないという現象自体の問題性は消失しています。
私が臨床の場で出逢う、長い間「ひきこもり」状態の若者たちにとって、そのことが主訴として成立しなくなりました。
しかし、彼らの苦悩が解消したわけではありません。
本人にとって、
今はみんなひきこもっているけど、学校が再開したら学校に戻れるだろうか??
家族にとって、
家で一日中ゲームばかり。宿題も勉強も一切やりません。。。

ひきこもり問題の本質は将来への不安です。
ひきこもっているという現象自体が問題なのではなく、長期的にひきこもっていることに対する不安です。

非常事態宣言に従う人々は、ひきこもっていれば流行が収束するだろうという希望があるからひきこもりに耐えています。
それがいつになるのだろうか、長引くのだろうかという不安も同時に抱きながら。

希望があれば、不安に耐えられます。
希望がないと、不安に押しつぶされてしまいます。

いわゆる「ひきこもり」青年たちとその家族は、回復の希望を失っています。
そのために、ひきこもりシステムから抜け出すことができず、長期間苦しんでいます。

人と繋がることはリスクを伴います。

  • コロナウィルスをうつされて病気になるリスクを負います。
  • (友人として、恋人として、家族として)親しくなりたい・繋がりたいのに、その相手から否定されたり、無視されたり、傷つけられるリスクを負います。特に、守られていたピーターパンの世界から抜け出し、自立した一人の人として成長する思春期・青年期の頃は、他者との関係性の築き方に慣れていないので、このリスクが大きいです。

Risk Avoiding(危険の回避)
このリスクを回避するためには「3蜜」を避け、人と濃厚接触しないように関わりを避け、家にひきこもります。

Risk Taking(危険を請け負う)
人との接点を全く断つと生きていけません。
食料品・日用品の買い物に出かけなくてはなりません。
仕事をしなくてはなりません。私は医者として多数の患者さんたちを診察しなくてはなりません。
人々は医療なしでは生きていけません。
私は医療の仕事をしないと生きていけません。
人と接するしかありません。
思春期の若者たちは人と接し、傷つき、失敗体験と成功体験を繰り返しながら社会性を獲得します。
危険を請け負うことで、人は成長します。
危険を回避し続けると、成長が止まってしまいます。

Risk Management 
リスクを回避するか、リスクに向き合うか。
この両者にうまく折り合いをつけようとするのがリスク・マネージメントです。
1)リスクに関する正確な情報を得ます。
コロナウィルス感染症の知識や、社会の感染状況などです。
2)リスクを最小限に留めつつ、リスクと向き合います。
理性的に行動するためには、感性(不安)をコントロールすることが大切です。

Anxiety Management (不安のコントロール)
不安が先行してしまうと、リスク回避へ向かいます。リスクに正面から向き合うことはできません。感性が先行し、理性的に物事を考えられなくなります。
不安感が安心感で中和され、心が不安に取り込まれた状態が回避できると、理性が働き、合理的なリスク・マネージメントができるようになります。

不安とは、漠然とした否定的な未来予測です。
安心とは、漠然とした肯定的な未来予測です。

この世の中は基本的に危険がいっぱいです。
やすやすと肯定なんかできません。
そんな中で、どうやって安心感を作り出すことができるのでしょうか?

それはズバリ言えば、人との繋がりです。
人との繋がりは、不安を生む場合と、安心を生む場合に分かれます。
不安を生む場合

  • 新型コロナウィルスが人々の間に蔓延している場合。
  • 思春期の若者が社会性を獲得しようと模索している場合。

安心を生む場合

  • 傷つけられないことが保証された状況で、物理的あるいは心理的に相手と近接に接する場合。

今、我々はウィルスの脅威という不安を共有しています。
その不安感を安全な文脈でお互いに共有できると、一人ではない、孤独ではないという、連帯の安心感が生まれます。
一方で、リスクの不安を抱え、
もう一方で、連帯の安心を生み出すことができれば、
リスクを回避しつつ、リスクを請け負い、希望を紡ぎ出すことが可能になります。

2020年4月17日金曜日

カウンセリングはお芋掘り

カウンセリングはお芋掘りに似ています。

苦悩や心の問題の正体はどうなっているのでしょうか?
どこに由来しているのでしょうか?
現在の体験や過去の記憶を掘り起こしていきます。
それはあまり心地良くない部分なので、地面の中に隠して、表層に出てこないようにしています。
ひとりでは難しい芋掘りを、カウンセラーは対話によって掘り下げていきます。
一体どこを掘れば良いのでしょう?
どこに焦点を合わせれば良いのでしょうか?

カウンセラーは経験から、大体この辺りかもしれないと見当をつけることはできます。
しかし、そこに本当におイモが隠されているかは、掘ってみないとわかりません。

  • 先生は、どうしてそこに焦点を合わせるのですか?そのおイモは今の悩みとはあまり関係ないと思います。
  • まだクライエントの全体像が見えてないのに、そこに焦点を合わせて彫り進めて良いのでしょうか?

などと弟子たちは尋ねます。
イモ掘りの名人は、ほんのわずか地表に顔を出した兆しと長年の経験から、うまい具合におイモが隠れている場所を見出します。
カウンセリングの名人も、この辺りが焦点かなと見当をつけることはできますが、本当にそこにおイモが隠されているか、掘ってみないとわかりません。
予想が外れることもあります。そしたらもう一度初めからやり直します。

幸い、おイモを掘り当てました!!
良かった!
しかし、それをほりだそうとすると、地下茎でさらに深いおイモに繋がっていることがよくあります。
そう、人の営みの全体像はとても広く複雑です。
今まで見えなかった深いところをさらに彫り進めてゆきます。

1)カウンセリングを進めながら、何度も仮説を立て直します。
初めから正確なアセスメントはできません。
初期段階で見える限られた情報から、とりあえずの暫定的な仮説を立てます。
それ念頭に対話を掘り下げていくと、新たな情報が見つかり、別のアセスメントが可能になります。
すると、対話の方向性も少し変わっていくでしょう。
そのプロセスの繰り返しです。

おイモは丁寧に掘り起こします。
強引に掘り下げ、おイモを傷つけてはいけません。
誤って地下茎を切ってしまうと、繋がっていたはずのおイモを見失ってしまいます。
お芋さんの了解を得て、丁寧に、優しく、信頼関係を築きます。
この人なら私のおイモに触れても大丈夫だという信頼関係です。
そのためには、掘る人(セラピスト)の人間性をお芋さん(クライエント)に伝えます。
掘る人の心も理解してもらいます。そのためには、掘る人自身が自分のおイモがどう地下茎で繋がっているかを理解します。
2)対象(クライエント)を理解するためには、セラピストが自分自身を深く理解していることが重要です。

通常、おイモは地面の中にいるものですから、わざわざ掘り起こす必要はありません。
しかし、おイモが腐ってくると腐敗臭が漂い、どうにも困ったことになるので、腐っているおイモを掘り起こします。
うまく掘り当てたところで、そのおイモをどうすれば良いのでしょうか?
外科手術のように切って取り除くのは良くありません。
地下茎も切れ、他のおイモとの繋がりが絶たれてしまいます。
じゃあどうしたら良いのでしょう?
陽の光に当てて乾かしましょう。
そうすれば、臭いは発しなくなります。
腐って干からびた部分は元に戻らないかもしれません。しかし、バイ菌は落ち着くので、臭いを発せず、他のお芋さんたちとも連携を保つことができます。
3)それまで自身で否定していた体験(喪失、トラウマ)や自尊心を低下させる体験(失敗、否定)を信頼する他者の元で開示し、肯定されることにより、自己否定から解放されます。

2020年4月15日水曜日

コロナ緊急事態と講座・スーパーヴィジョン

東京など7都府県に(新型コロナウィルス感染拡大)緊急事態宣言が出される直前の週末に、大森相談室で開かれた二つのグループについて紹介します。

4月4日(土)の家族療法コンサルテーションには、近所にお住いの1名の方が相談室に来訪し、3名の方がZoomで参加しました。

4月5日(日)のグループSV(スーパーヴィジョン)には来訪した方はおらず、7名の方全員がZoomによるオンライン参加でした。皆さんの居住地は大阪、新潟、山梨、茨城、東京など全国に及んでいます。

両者の対象者・目的などは微妙に異なりますが、私としては似ている部分があるので、両方の「振り返り」を取り混ぜてご紹介します。
色で分けます。

4日(土)の家族療法コンサルテーション→緑色
5日(日)のグループSV(スーパーヴィジョン)→青色

1)コロナの影響について

  • ひきこもりを強いられる生活が続く中で、参加して、すっきりしました。対面ではなくても、画面を通じて対話して、そこから考えていくことが、支援者である前に人として、エンパワーにつながると実感しました。
  • コロナの心配ももちろんですが、大森や群馬までの距離や、時間のやりくりを考えると、これからもZoomで積極的に参加していきたいと思います。 
  • コロナのことを考えると‥、どうしても陰鬱な気持ちになりますが、そのことが2時間近くすっかり頭から離れていたのは大きな救いになりました。
人と関わり、言葉・自分の気持ちを発し合うことはとても大きなリフレッシュ、ストレス解放になりますね。

2)Zoomの利用について

  • Zoomで参加することができ、とても便利でありがたいと思っております。
  • この事態なので、zoomでの参加ができるのは助かりました。ただ、やはり対面での方が話しやすいのだろうとは思います。

  • 全体としては通常のGSVと変わりない、安心できる雰囲気の中で参加できました。時に接続が切れがちになることはありましたが、それは対面であっても声が聞き取りづらいタイミングもありますから、同様かなとと思います。都度、聞き直せばよいのかなと思いました。全員がZOOMだったので、顔が一人ひとり見えるのは良かったです。
  • zoomは仕事で使っていたこともあり、楽しみにのぞみました。私ひとりだけが現場だったため、途中、皆さんへの投げかけなどに、先生がやり辛さを感じていないかと気になりました。全体を通じ、対面よりも先生がお気遣いくださっているおかげで初対面同士のメンバーでも、コメントしやすい場作りがありがたかったです。
  • 前回は現地にいる皆さんの中にzoomでの参加でしたが、今回は全員がzoomという同じ条件だったので非常に参加しやすかったです。話す側、聴く側の両面、支障が少なくてよかったと思います。
今までは現場でのリアルな参加と、ネットを介したバーチャルな参加をミックスしていたのですが、今回の皆さんの感想から、混同しない方が良いのではと考えました。現場の方がコミュニケーションの密度が濃いので、両者ではどうしても温度差が生じ、参加しづらくしているのかもしれません。今後の会の開き方を検討します。
  • 画面を通して発した自分の言葉の影響を掬いあげることが難しい時があるので、またこちらの伝えたい思いが伝わっているかどうかわかりづらいのが大きな難点だと思いました。
  • どのタイミングでどの程度、自分が話す時間をもつかということは、気を使いますね。物理的な位置関係や視線の使い方は別の工夫が必要な気もしました。リフレクションの位置を取ることでの安全性の担保が可能か。
オンラインでは「相手 vs. 自分」という二者関係を作り出すことはできますが、三者以上の多人数の関係性や「場の雰囲気」を作り出せないように思います。表情は重要な非言語メッセージです。Zoomで一人ひとりの姿をアップで写せば表情をよく読み取れますが、部屋全体、グループ全体を大写しにすると個々の人の表情までは読めなくなってしまいます。
目線の位置も重要なメッセージになります。リアルな現場で対話する時、相手の目を見たり、視線をそらして他の方向を見たりすることで、相手との距離感や感情を表現できます。しかし、オンラインだと目を合わせようとしても微妙に視線がずれてしまいます。それは画面の中にいる相手の位置と、端末(PCやスマホ)のカメラの位置が近いものの違う位置にあるからです。画面の中の相手の目を見ても、その相手からは視線がずれているように感じます。相手の目線に合わせるためには画面ではなく、カメラを見つめなくてはなりません。
またグループ、つまり三人以上の人たちが参加している場合、誰が誰を見ているかと視線の位置関係が重要です。現場にいれば簡単にわかりますが、Zoomだとお互いの目線の位置、つまり誰が誰を見ているか、どのような視線のメッセージを交換しているかといった微妙なコミュニケーションができません。お互いの力関係や、次に誰が発言するかなどが見えにくくなります。したがって、オンライン会議ではグループの構造・雰囲気を意図的に誰かが(ここでは私がその役割を担うわけですが)作った方がやりやすいように思いました。
  • 文字の資料がある場合、zoomではっきり見えるように何か方法があればありがたいと思っております。
できますよ。Zoomでは添付書類やチャットなど、文字を使う様々なデバイスが用意されています。今回は使いませんでしたが、次の機会に試してみましょう。
  • zoomでの機会を増やしていただきたいです。先生のご都合がつきましたら、朝や夜の時間も相談いただきたいです。
はい、増やします。Zoomでしたらクライエントさんも私も自宅から出来ますので朝や夜の時間帯でも都合をつけやすいですね。

3)支援者 vs. 当事者

  • 課題を持っている人たちの集まりに対して先生の講義がメインの勉強会を想像していたのですが、それぞれの参加者が当事者としての感覚も持ちつつ、またプロとしての意見を出し合うという形式が斬新でした。
  • 自分以外の方の悩み、それに対する解決法を聞く事で、自分の事も客観的に考えるきっかけになったと思います。
  • 先生はもちろんの事、参加されている方々が、とても穏やかで、話しやすかったので、安心して参加できました。
  • 私自身も悩みの渦中で、人の家庭に対して意見をできる様な知識も経験も無いので、少し発言するのに躊躇してしまう気持ちもありました。
  • 私が抱えている家族に対する悩み、不安は、そのまま投げかけるのには整理ができていないと思います。一度先生に個人カウンセリングをしていただいた上で、皆さんの色々と意見をお伺いしてみたいです。また、悩みの元になるキーワード(例えば私の場合、父性や、自己肯定感など)について、事例や相談を絡めて話し合う等しながら学んでいけたらと思います。
  • 私わかっている人」というスタンスで参加してしまったらどうしようと思っていましたが、自分としてはあまり支援者という感覚なく、セルフヘルプ・グループのような気持ちで参加しました。話題を提供してくれた方が非常によく内省されておられ、しかも相手の立場や気持ちもよく理解しておられるように見えたので、支援者なのかな?と思いました。
家族療法コンサルテーションに参加される方々は、
私、問題や悩みを抱えている人(=当事者)
あるいは、
私、わかっている人(=支援者)
の仮面をつけて参加されます。
しかし、それはとりあえず身につけた仮面に過ぎず、誰でも当事者・支援者両方の仮面を持っています。大切なことは仮面の下にある人間性を語り、言語化して、整理して、客観視できるようになることです。そうすれば、自ずから自分自身の解決策(セルフ・ヘルプ)も、他者に対する解決策(支援策)も見えてきます。

そのことはグループSV(スーパーヴィジョン)でも全く同様です。

  • 語るうちに感情が溢れてきてしまいすみませんでした。「自分ひとり助けられない」ということは、専門職としては失格で、この業界から永久追放されるくらいの怖さがありました。知識や技法で全て解決できないように感じていたことを話して、それが否定されない場というものを、初めて経験しました。弱さが垣間見えただけで、同じような弱さを持つ支援者から攻撃されてしまうという繰り返しがあり、自分が変わらない限りは、現場へ戻れないと思ってきたのですが、今日、何となく、一区切りついたような気がしました。当事者としての自分や、出会ってきた人達があり、疑問があり、それが支援者としての在り方を考えさせることにもなっていたので、内包させたまま、どう自分の中でまとめていくか…今日感じたことを、ゆっくり深めたいと思います。

皆さん、専門家・支援者の仮面をつけて参加されますが、深く話し合えば人間性・当事者性に自ずから行き当たります。それはごく自然なことです。しかし、戦場(支援の現場)では仮面(鎧)をつけていないと相手に攻撃されてしまいます。頑丈で相手にうまく突き刺さる仮面を求めて、努力を重ね専門性(知識や技法)を身につけます。素手で戦う(支援する)わけにはいきませんから鎧や武器(専門性)を獲得するのは必要ですが、それだけではうまく使えません。その下にある本来の自分を鍛えないと、やたら武器を振り回すだけになってしまいます。
私が目指しているのは、仮面を脱ぎ、本当の自分(人間性)を見せ合い、認め合える場所です。そのことがいかに大切であるか、実感していただけて良かったです。これはどちらの仮面を付けている人にとっても大切なことです。

  • 今日のSVの内容には専門性に関する視点、トラウマや摂食障害など重い状況に対する対応などあげられ、とても勉強になりました。一番感じたことが、軽い状況でも重い状況でも、相手を自分と異なる1人の人間として尊重して落ち着いて聞くことが大事だということです。
  • 対話して、そこから考えていくことが、支援者である前に人として、エンパワーにつながると実感しました。資料なしで、スーパーヴァイザーとの対話を通じて引き出されてくるものがあるなと思いました。逆に言えば、何のつながりもなく、声も発することもない状態が続くことの怖さも感じました。
それは、コロナウィルス非常事態にある世界の我々の状況であり、

多くの「当事者」たちが抱えている世界でもあります。
人と繋がり、声を発することの意味・大切さを、今、我々は体験できますね。
  • 引き続き、クローズドでのGSVを希望します。日曜日の午前だと、都合の合わない日もあるのですが、なるべく参加して、家族療法やSVの意義について学んでいければと思います。

今年度は、スーパーヴィジョンの機会を増やしたいと考え、今プランを立てています。

4)お芋掘り
今回、話題を提供していただいた方からの振り返りです。

  • 自分の初めての担当する相談ケースを出させていただきました。もっと情報収集が必要であることを実感しました。多くの問題を抱えてるクライエントさんに対して、あれもこれもといろいろな所に目がいっていた自分でしたが、「一つ一つ丁寧にお芋掘りをして行く」という田村先生のお話を聞いて、焦らず一つ一つ丁寧に向き合っていこうと思いました。

お芋掘り」の比喩はカウンセリングの考え方を説明する時に私がよく使う比喩です。大切なことなので、別稿て説明します。

2020年4月3日金曜日

オンライン・カウンセリング

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、ここ3週間ほど精神科を受診する患者さんの数は減少し、予約のキャンセルが相次いでいます。
人との接触を避けるため外出を控え、家で仕事を行うテレワークが推奨されています。

カウンセリングの分野でも、インターネットを用いたオンライン・カウンセリングが行われるようになりました。

私が現在行っている実践例をご紹介します。

Zoomによる相談活動

スカイプ(Skype)をご存知の方も多いと思いますが、Zoom(ズーム)はスカイプの機能を向上させたテレビ会議アプリで、ここ1-2年、広く使われるようになりました。使い方はとても簡単で、パソコンに限らず、タブレットやスマホでも利用できます。無料でダウンロードして、私からお伝えする会議室ID番号を入力すると、画像付きの「テレビ電話」がすぐに使えるようになります。一対一の対話ばかりでなく複数の人たちと同時にやりとりできます。
ネット機器は使い慣れないと抵抗感があるものですが、実際に使ってみるとすぐに慣れ、違和感もそれほど感じず参加できます。
  • カウンセリング:遠隔のカウンセリングができます。初回はface to faceの面談で、その次からの面談はZoomを利用する方がいます。
  • 海外にお住いの方などどうしても面談できない場合、一度も面談はせず初回からオンラインでカウンセリングを継続している方もいます。
  • 複数の方とのカウンセリング。例えば母親は来所して、単身赴任中の父親はZoomで。あるいはひきこもっていて外出が苦手な人も自宅からZoomで参加するなどです。
  • グループ・スーパーヴィジョン:2-3名から7-8名程度。来所する人とオンラインで参加する人の両者が混じって話し合いを進めます。オンラインだと距離感があり、現場に来た方がやりやすと感じる人もいます。
  • 講座や研修:Zoomは100名以上の方々を同時に繋ぐことができます。
  • ここ3年ほど中国の人たちとのセラピーやスーパーヴィジョンを積極的に行なっています。
    • 私が中国に行った時に面談し、その後の回はZoomで行う場合。
    • お会いしたことはなく、初めからオンラインでセラピーを行う場合。
    • スーパーヴィジョン。約20名のセラピストとともにオンラインでスーパーヴィジョンを行います。
    • 私は中国語は全く使えません。英語あるいは日本語の通訳を介します。ネットを介し、通訳を介し、、、果たしてそんなことできるのだろうか???と始める前は不安でしたが、実際にやってみるとなんとかなるものです。
過去に行ってきた実践もご紹介します。
電話による相談活動
  • いのちの電話。自殺予防・危機介入の市民活動に専門家として1980年代から関わってきました。私は直接電話で対応したわけではなく、相談員の研修や、電話だけでなく面談したい利用者さんを担当しました。
  • サマリタンズ(Samaritans)。イギリス版のいのちの電話です。1989年-1992年に私がロンドン留学した際に、ボランティア相談員として電話相談を行いました。また、ヨーロッパに住む日本人のために「日本語相談を」開設しました。
電子メールによる相談活動
  • 1990年代、パソコン通信からインターネットに移行する頃、電子メールを用いたカウンセリングを試行しました。また、インターネットのメーリングリストを用いたグループ話し合い活動も行いました。これらの様子は二冊の本にまとめました。
  • インターネット・セラピーへの招待―心理療法の新しい世界(2003年)
  • 癒しのメーリングリスト―不器用なボクらの「生き直しの物語」 (2005年)
  • 自殺予防の相談機関「いのちの電話」に電子メール相談の創設に協力しました。
  • 東京都の相談機関「ひきこもりサポートネット」と「若者総合相談若ナビ」の創設時に監修者として電話と電子メール相談のシステムを立ち上げました。
  • しかし、現在はこれらの活動から手を引いています。
  • 私の個人開業でも電話相談や電子メール相談は受け付けていますが、あまり利用者は多くありません。
  • 電話や電子メールを用いたメディア相談には長所と短所があり、それを理解すれば良い効果をあげることができます。私も以前は熱心に臨床や研究を行なってきましたが、今はあまり積極的に取り組んではいません。
<未来に向けて:メディアミックスの相談活動>
今後も積極的にオンラインによるカウンセリング、主にZoomを用いて活用していきたいと考えています。

  • 地域性を超えた相談:1) 東京の相談室と、2) 高山村の古民家診療所と、3) オンライン(zoom)と、利用者のニーズに合わせて組み合わせたいと思います。
  • 研修活動やスーパーヴィジョンも同様です。今後のグループ・スーパーヴィジョンでは、全てオンラインからでも参加できるようにします。