2016年12月14日水曜日

親が子どもを社会に繋げていく+拒否られる怖さ

人は、一人ぼっちでは生きていけません。
誰かと繋がることが必要です。

思春期は、つながる相手を切り替える時期です。
生まれてから思春期の前までは、家族とつながっています。
クラスの先生や友達とも繋がっているかもしれませんが、家族がメインのつながる相手です。

子どもは家族とつながって、安全と安心を確保して、健やかに成長します。
ソトの世界は危険ですから、基本的に繋がりません。

小学校高学年から中学生にかけて、思春期が始まると、今まで守られていたウチの世界から飛び出し、自分の力でソトの世界と繋がろうとします。
社会の中に自分の居場所を見つけていきます。
学校や友人、職場の同僚や友だち、恋人や結婚相手、、、繋がる相手を確保して、自分の人生を築いていきます。

人とうまく繋がり、自分を認めてくれる人がそばに居ることは、とても大きな幸福です。

しかし、人とうまく繋がらないと、傷つきます
うまく繋がらないとは、どういうことでしょう?
ここでは、二つの例を考えてみましょう。

一つは、繋がった相手から危害を加えられ、危険な目にあう恐怖です。いじめられたり、不利益を被ったり、奪われたり。
そのような人とは繋がってはいけません。
繋がる相手を選ばなくてはなりません。

もう一つは、繋がりたい相手が繋がってくれず、拒否される怖さです。
無視されたり、裏切られたり、逃げられたり。。。
相手からNOと言われると、とても傷つきます。

この人と繋がりたいのだけど、私とうまく繋がってくれるのでしょうか?
そのことが前もってわかればいいのですが、実際にやってみないとわかりません。

こう考えると、人と繋がるって、とても危険を伴う行為です。
うまく繋がれば良いのですが、下手すると傷つきます。
それは、子どもも大人も共通です。

(1)まず、子どものことを考えましょう。

子どもから大人へと成長する中で、若者は色々な人々と出会い、うまくいったり(成功体験)、失敗したり(失敗体験)を繰り返しながら、徐々に人と繋がる自信を獲得します。そして、学校、職場、地域、家庭などに自分の居場所を見出していきます。

子どもが社会に出て、ソトの人たちと交流を始めたら、親の出る幕はありません。黙って、安心して、遠くから見守ってあげてください。子どもが勝手に失敗と成功の体験を身につけていきます。

しかし、そうなるまでには時間がかかります。
さまざまな理由から、人と繋がる失敗体験が先行してしまい、それを諦めて、繋がりから隔絶してしまっているのが社会的ひきこもりです。

そうなると、親の出番です。
親が子どもとしっかり繋がってあげてください。

なぜなら、ひきこもっている人たちに残された人との繋がりは家族だからです。友だちなど他の誰かと繋がっていれば良いのですが、そうでなければ選択の余地がありません。

親は、しっかり子どもの心をつかみましょう。
子どもに構ってあげましょう。
子どもをいじってあげましょう。

その際に大切なことは、プラスの力で繋がることです。
プラスの力とは、「肯定」、「安心」、「信頼」、「自信」などです

  • 君は前に進める力を持っている。
  • 今のように立ち止まっている必要はない。
  • 前に進みなさい。
  • ハードルを乗り越えなさい。
  • ハードルにつまづいても大丈夫。転んでも立ち上がり、次のハードルに向かいなさい。

そのように伝えてあげましょう。

えっ、そんなことして大丈夫ですか?
うちの子は、無理すると、つぶれてしまうかもしれません、、、
ハードルを飛べず、また失敗して、傷つき、致命傷を負って、立ち上がれなくなってしまうかもしれません、、、、

そういう気持ちを親が抱いている間は、子どもを押してはいけません。
なぜなら、親の気持ちがマイナス(不安、否定、自信喪失、不信)に傾いているからです。
この状態で親と子が繋がると、親の不安やイライラが子どもに伝わり、ますます動けなくなってしまいます。

(2)次に大人のことを考えてみましょう。

人と繋がる怖さは、成長する子どもばかりでなく、その子どもと向き合う親も同様に抱きます。

  • 親が言っても、子どもに拒否されるんじゃないだろうか。
  • 無視されるんじゃないだろうか。
  • せっかくリビングに出てきて、やっとここまで親子で会話できるようになったのに、そのことを言ったら、また部屋に閉じこもってしまうんじゃないだろうか。

親は、子どもとうまく繋がらないかもしれないという恐怖のために、子どもに言いたいことも、言うべきことも言えなくなってしまいます。

つまり、親は子どもと繋がることができません。
子どもがひきこもっておらず、ソトの人と繋がっていれば、別に親と繋がる必要もありません。

しかし、ひきこもり、ソトの世界と隔絶してしまうと、繋がる相手は親しかいません。
子どもが親と繋がれないと、繋がる体験を誰からも得ることができません。

そのような時は、親自身がまず「繋がる恐怖」、「失敗する不安」を乗り越えましょう。
親自身の気持ちが今、どうなっているか点検します。
マイナスの気持ち(不安、否定、自信喪失、不信)に傾いているか。
プラスの気持ち(肯定、安心、信頼、自信)に傾いているか。

親がプラスの気持ちをしっかり抱いていれば、親として子どもを愛する気持ちに自信を持ち、子どもから拒否される不安を乗り越えて、子どもに親の真心を伝えることができます。

子どもは、親と繋がることができた安心を胸に抱きながら、ソトの人たちと繋がることができるようになります。

親がマイナスの気持ちに傾いているときは、子どもと繋がる前に、親の気持ちを再調整しなければなりません。
気持ちをマイナスからプラスに持って行きます。

そんなこと、できるのでしょうか?
理屈でなんとかしようとしても、無理です。
いくら「マイナスからプラスへ、、、」と理性で理解したとしても無駄です。
気持ちは感性ですので、理性を働かせたところで別の次元の問題です。

では、どうしたらよいでしょうか?
他者からプラスのエネルギーを送ってもらいます。
プラスの気持ちを持っていて、信頼できて、ちゃんと見守ってくれる人とよく話し合い、不安な気持ちを、安心の気持ちに変換してゆきます。

、、、このように説明しても、しっくりこないかもしれません。よく理解できないかもしれません。
これは、感性のお話しなので、いくら理屈で説明しても、納得できるものではありません。
実際に、体験していただくのが一番の近道です。

田村研究室では、私が専門家として持っている安心と肯定のエネルギーを使って、クライエントの方の気持ちが前に進むように支援しています。

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