そのためには、夫婦感の深い親密性が必要です。
両親の一致団結した協力が大切です。ということはよく理解していただけるのですが、理屈でわかっても、どうしても気持ちがついてゆけず、ご夫婦でうまく話し合えない時があります。
思春期は特に父親の力が大切です。
よくお話を伺ううちに、
・以前、浮気をされていまして、、、
・お酒を飲んだり、暴力を振るわれて、、、
・お姑さんにひどいことを言われ、夫が守ってくれなかった、、、
・下の子を失った痛みから抜け出せない、、、
という話を伺えば、なるほど、と納得できるのですが、どうもそれだけではないようです。
もっと見えにくく根が深い溝があることに最近気づきました。
それが、子育て放棄とセックスレスという夫婦間のネグレクトです。
子育てのネグレクト
子育てが大変な時に、夫は協力してくれませんでした。
母親の私が孤軍奮闘してました。
夫にも言い分はあるでしょう。家族のために一生懸命仕事をしてくれているのは感謝しているし、家に帰って疲れ切って余裕がないのはわかります。
せめて夫も気にかけてくれて、短くても良いから子どものことを話し合えれば多少気持ちも楽になったのでしょう。
夫も努力はしてくれますが、すぐに忘れるんです。
まるで夫の心の中に、家族や子どものことがすっかり抜け落ちてるみたいです。
私には誰も相談する人がいませんでした。
私ひとりでやらなくちゃなりません。
この孤独感にずっと耐えてきました。
夫はこのこと以外はとても良い人なのですが、子育てに関しては全く信頼していません。
いまさら父親の役割を期待するのは無理です。というか、イヤです。
期待すると辛くなるので、10年前にそれは諦めました。
夫にしても、今まで子どもに関わってこなかったから、どうやって子どもに声をかけたら良いのかわからないし、自信なんかないでしょう。
このように、深い怒りが隠されています。
しかし、その怒りにご本人も気づいていません。
セックスレスというネグレクト
田村)失礼ですが、ご夫婦のスキンシップはいかがですか?
もう、ぜんぜんそんなことはありません!
私から尋ねると、このような答えがよく返ってきます。
口調には怒りが隠されています。
それは、問題だと思います。本当は、もっとスキンシップが欲しいです。
でも、女性からこの話を持ち出すことはできませんし。
夫はこのことをどう思っているか知りません。
そのことを夫婦で話し合ったことは一度もありません。
日本人は、セックスについて真面目に考え、語ることがとても苦手です。
私の方からそのことに触れない限り、ご夫婦から話題に出されることはまれです。
・子どものことで疲れているから、、、夫婦間のコミュニケーションは二つのチャンネルを用います。
・仕事で疲れているから、、、
・もう、私のは役に立たないから、、、。
・そもそも言葉のコミュニケーションもないのに、そんな気持ちになれません。いきなり触れられると、ゾッとします、、、
1)ひとつが心の触れ合いです。言葉でお互いの気持ちを伝え、分かり合うことです。
2)もうひとつが身体の触れ合いです。お互いのぬくもりを肌で感じ、一体感を体験します。言葉のない赤ちゃんや哺乳類動物も、肌の触れ合いで深く安心します。
若い頃の、わけのわからない性欲にまかせたセックスや、
子どもを作る生殖のためのセックスしか知らず、
コミュニケーション手段として肌を触れ合う習慣がありません。
セックスを語るのは恥ずかしいこと、はしたないこと、女性から言うものではないなど、未だにタブー視されています。
隠された怒り
子育てと言葉のコミュニケーション:
本当は気持ちの交流を求めています。お互いの気持ちを分かり合いたい。
セックスという身体のコミュニケーション:
本当は身体の交流を求めています。肌が触れ合い、安心したい。
一番親密であるはずの夫婦間でコミュニケーションを放棄し、拒否されてきた怒りは想像以上に大きなものです。それは隠されたまま長く心に留まります。
しかも、その怒りは相手どころか本人自身も気づきません。そのために、なぜパートナーの話を生理的に受け入れられないのか、自分でも理解できません。
〇男性は仕事優先という伝統的性役割のために、父親が子どもに関れないのは仕方がないことです。
〇セックスをタブー視する風潮から、子どもが生まれた後にセックスがなくなるのも仕方がないことです。このような社会的な「仕方がないこと」の陰に隠れて、これらが「問題」として浮上してこないため、それを変えようという発想も生まれてきません。
結果的に、夫婦間に横たわる深い溝を修復できず、「家族の力」を発揮することができません。一見、仲の良い普通の夫婦なのに、家族の力を発揮できないのです。
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このような場合、どうしたら家族は救われるのでしょうか?
次回、このことをお話しします。
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