人は、始めの頃は心機一転がんばれるものです。4月中は報われなくても頑張れますが、5月の連休でしばらく学校や職場から離れ、連休明けに頑張ろうとしても、息切れしてしまいます。4月からスタートして5月に息切れするから「5月病」と呼ばれますが、これは5月に限ったことではなく、一年中いつでも起こり得ます。
医学的な病気ではなく俗語です。医学的な診断名としては「適応障害」になります。
生活環境の変化が原因ですが、そのまま長引くとうつ病や不登校、さらに長期化すると「ひきこもり」に発展することもあります。
上手く適応できない原因は、ストレスです。
新しい仕事や仲間が負担に感じることが直接のストレスですが、本人の内面を分析すると、自分はこうありたいという理想像と、そうはうまくいかないという現実像との乖離(ギャップ)がストレスとなります。
自分がこうありたいという理想像とは、たとえば、もっとがんばりたい、勉強や仕事の成果を出したい、周りの人に認められたい、友だちを作りたいといったことです。
「五月病」チェックリスト
次の項目で4つ以上当てはまる場合は「五月病」が疑われます。
- 何となくやる気が出ない
- 朝起きても気分が晴れない
- 学校(仕事)に行くのが億劫だ
- 食欲があまりない
- 自分はこのままで良いのだろうかと不安になる
- 眠ろうとしてもよく寝付けない
- まわりの人は、まだ私のことをわかっていない
- 眠りが浅く、夜中に目が覚めることがある
- 以前と比べて疲れやすくなった
- 自分は「ダメ人間」と思う
- 今の学級(職場)は自分に合っていないと思う
- 自分だけ取り残されている感じがする
家族用チェックリスト
家族から見て、次の4項目以上が当てはまると要注意です。
- 学校(職場)に行きはじめた頃より元気が落ちている
- 朝起きてくると機嫌が良くない
- 休みの日は寝ていたり、家にいて活動的でない
- 朝、出かけるのが辛そう
- 学校(職場)のことを尋ねても答えようとしない
- 家族との会話が減った。
- 学校・職場の人間関係がうまくいっていないようだ
- 食事で食べる量が減った
- 家でイライラして家族に当たることが増えた
- ゲームやお酒などに逃げている
- 表情が暗く、憂うつそうだ。
- ストレスの発散に心がけましょう。人は生活の中で常にストレスを受けています。それを溜め込まず、放出しましょう。
- そのために出来ることは、気分転換です。自分が好きなこと、楽しめることを積極的に行ってください。自分の気分転換のレパートリーを複数用意してください。それは人によって異なります。たとえば私の場合はスポーツ(身体を動かすこと)、好きな人とおしゃべりすること、カラオケで思いっきり歌うこと、お酒を飲むことなどです。
- お酒、買い物、ギャンブルなどがレパートリーの人は、やり過ぎに注意しましょう。いずれも、節度を守った適量ならストレス発散に効果的ですが、やり過ぎると依存症になり、かえって悪化します。
- 睡眠を十分に確保してください。寝付きにくい場合は、あなたに合った寝付く方法を試しましょう。
- 困った状況や気持ちを人に打ち明けてみましょう。秘密を守り、信頼できる人に伝えるだけで、気持ちがとても楽になります。
- 考え方を転換しましょう。
- がんばり過ぎてはいけません。心に余裕を持ちましょう。
- 焦らず、ゆっくり構えることが大切です。少し慣れ、まわりが見え始める1ヶ月後は、だれでも多かれ少なかれ困難を感じる時期です。その時期を通り越して、3ヶ月や半年たてば、必ず状況が変わってきます。あるいは人によっては1年、2年とかかるかもしれません。それくらいの時間的な余裕をもって、焦らず、臨みましょう。
- マジメになりすぎてはいけません。良い意味での「いい加減」さが大切です。100%を達成しようとせず、7割か8割で十分と捉えましょう。
- 会社の上司や、試験担当の先生が120%を求めてきても、無視しましょう。
- 理想とプライド(自分への期待)を下げましょう。いつまでも理想を追い求めてはいけません。等身大の自己像を作っていきましょう。
次に、家族やまわりのひとが出来ることについて説明します。
- 当事者に声をかけましょう。悩んだり、落ち込んでいる人には、声をなかなか掛けづらいものです。しかし、思い切って声をかけてあげると、たとえ答えられなくても安心するものです。
- ただし、まわりの人(家族)も一緒になって悩んだり心配してはいけません。心に余裕を持って、当事者に接してあげて下さい。
- 話をよく聞いて、置かれた状況やその気持ちを十分に理解してあげましょう。
- アドバイス(解決策)や叱咤激励は不要です。解決策はその人自身が時間をかけて見出すものです。先回りして解決してあげようとしない方が良いです。そのままを冷静に受け止めてあげましょう。
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