孤独な時間だからこそ、できることがある。
自分にとって本当に大切なものは何なのか、そういう自分と向き合える時間を作るのに「ひとり温泉」はうってつけなのだ。
二週間ほど前、開業準備の忙しさを縫い、ひとりで草津温泉に行ってきた。草津は行き慣れた場所だ。高級志向なら老舗の大阪屋、奈良屋、益成屋。子連れで遊びたいならプールやアウトドア設備の整っている中沢ヴィレッジと草津ナウリゾートホテルが良い。でも、私が一番よく使っているのは老舗だが手ごろな村松屋だ。草津に数ある源泉の中でも湯畑の湯は肌に柔らかい。熱い硫黄泉が身体に染み込んでいく。
しかし、今回はあえて趣向を変え湯畑を見下ろす大型旅館のホテル一井にした。早々にチェックインしてひと風呂浴びてから、部屋でノートPCを開ける。ひとりだから集中できるはずなのに、なかなか気分が乗らない。夕食は宿では取らず、前々から狙っていた洋食屋どんぐりに行く。週末はひと月前でも予約が取れないほどの人気店だ。ビールと夕食後のひと風呂ですっかり眠くなってしまった。せっかくのひとり時間を有効に使おうと思ったのに。
その分、翌朝は早く起き、チェックアウトまでゆっくり部屋で原稿に向かった。
旅は道連れ。ひとりは寂しい。しかし、その寂しさを敢えて選ぶことで、家族や友人との旅とは別種の愉しさが見えてくる。帰りの電車の中でもお気に入りの本を読みながら赤ペンでメモを書き込む。時間と気持ちに余裕がないとできないことだ。
長谷部誠の本はなかなか良い。よく言われる「心を強くする」「心を治す」「心を磨く」ではなく、「心を整える」という表現は柔らかい。その対極の表現と比較するとよくわかる。
心が弱い→強くする
心が病んでいる→治す
心が曇っている→磨く
心が弱かったり病んでいたら、それを強くしたり治すのは大変だ。
乱れているだけなら一時的な状態。ちらかった物を整理すればよい。病理として扱うのではなく、だれでも起こりうることとして気軽に考えることができる。
本には彼なりの心の「整え方」が具体的に紹介されている。弱冠27歳で成功した一流選手に啓発され、寄るとし53歳の(成功しているかどうかはわからないが)精神科医が自分の心をどう「整えて」きたのかよく見えてくる。なるほど、こんな風に書けばわかりやすいね。そのいくつかを、今後も紹介していこう。
当研究室のセミナー男のメンタル・トレーニングも彼の本から借りてきた。
ドイツでは最近メンタルトレーナーを採用するチームが増えてきた。
治療やカウンセリングよりトレーニングという言葉が男性には受け入れやすいと思ったのだが、どうでしょう?
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