2017年7月5日水曜日

夫婦間で言葉が通じない

  • 夫婦が向き合えない。
  • 夫婦間でコミュニケーションが出来ない。
  • 気持ちが通じ合わない。
そのような理由で、みなさん夫婦カウンセリングにいらっしゃいます。

よく話を伺うと、どうも二人で話している言葉が違うようです。
  • 広東語と北京語
  • ドイツ語とフランス語
  • 東北弁と九州弁
ご当人たちは同じ日本語をしゃべっているつもりですが、実は言葉が違うのです。

夫婦は三つのコミュニケーション言語を使います。

1) 理屈の言葉(理性)
状況を合理的に判断して、目的を達成します。
気持ちに左右されてはいけません。客観性な事実だけを冷静に伝えます。感情が入ってはいけません。
途中経過はどうでもよく、最終的な結論が大切です。
主に会社など理屈で物事を合理的にすすめていく人間関係で活用される言語です。
どちらかというと、男性が得意とします。

2) 気持ちの言葉(感性)
自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを受け取めます。
客観的な正しさよりも、相手と自分の主観的な気持ちが大切です。
相手と気持ち(愛情)を交換し、親密感と安心を得ます。
同じ話の繰り返しが多く、結論よりも途中経過が大切です。
夫婦や親子のように、気持ちで繋がる人間関係で活用される言語です。
どちらかというと、女性が得意です。

3) 身体の言葉(スキンシップ・セックス)
愛情に満ちた身体の触れ合いは大きな安心感と幸せを得ます。
夫婦・恋人の間でしか用いません。
それ以外の人と使ったり、たとえ夫婦の間でも使い方を間違えると暴力や犯罪となり、とても傷つきます。

これら3つの言葉を上手に使いこなすことができれば問題ないのですが、実際はなかなかうまくいきません。自分の得意な言語で会話しようとします。なぜなら、その言語を使った時に、もっとも親しさや愛情を感じることが出来るからです。
逆に、自分の得意としない言語で話しかけられてもよく理解できないばかりか、怖くなり逃げてしまいます。多くの日本人が英語で話しかけられると怖くなるのと同じです。怖がる必要はないと頭ではわかっているのですが、どうしても身体が拒否してしまいます。

夫婦でコミュニケーションができない。
そのようにおっしゃるご夫婦でも、実はとても相手を求めています。

しかし、使っている言語が二人の間で異なるために、相手の言葉が理解できず、困ってしまい、怒ったり、無視したりします。そうなると相手に嫌われた、もう無理、別れるしかないと思ってしまいますが、それは大きな誤解です。決して嫌っているわけではありません。近づきたいのですがうまく近づくことが出来ないので、がっかりして諦めてしまいます。

たとえば次のような例です。
理性(第1言語)とスキンシップ(第3言語)は使えるけど、感性(第2言語)が使えない男性がいます。
自分の家族(妻と子ども)と実家(自分の両親)との関係を平等に扱います。公平さが大切で、気持ちは重視しません。
実家より自分の家族を優先してほしい妻からの求めを理解できません。感性(第2言語)を使いこなせないので、感性で語り掛けてくる妻の言葉がわからず、特に負の感情(不安や怒り)が向けられると、英語で会話しろと求められているようで、無視するか、怒りで相手を蹴散らします。なかなか結論が出てこない妻の長い話にイライラして、「結論だけ言え!」と言いたくなります。

感性(第2言語)を母国語とする女性がいます。
夫が理屈抜きに自分を一番優先して安心させてくれることを求めます。結論がなくても、ただ話し合って気持ちをわかってほしいのに、夫は受け止めてくれず、イライラします。気持ちが通じない夫にスキンシップ(第3言語)を求められても無理です。

妻は、夫と気持ちを通わせることが出来ず、親密さを感じられません。
夫は、妻からスキンシップを拒否されるので、親密さを感じられません。

それが長い間続けば、お互いの愛情を感じることが出来なくなってしまいます。
本当は愛情を持っているからこそ、相手に自分の母国語で求めるのですが、相手に通じず、お互いの愛情を見失ってしまいます。

夫婦カウンセリングで行うことはとてもシンプルです。
3つの言語を上手使えるように練習します。

第1言語(理性)の練習は、
これまでの夫婦関係の経緯を情報収集し、夫婦が理解し合えない要因を分析します。
合理的な解決策をアドバイスします。
今後、夫婦間で調整するべき課題を具体的に提示します。

第2言語(感性)の練習は、
夫婦が向き合い、自分の気持ちを言葉で伝える練習をします。
相手の気持ち(悲しみ、不安、怒り、喜び)を素直に心で受け取る練習をします。
相手の立場を尊重しつつ自分の気持ちも相手に伝え、お互いが折り合えるポイントを見出します。

第3言語(スキンシップ)の練習は一番最後になる場合が多いです。
 なぜなら、日本人は総じてこの言葉を使いこなせません。二人とも下手な場合がよくみられません。日本では、夫婦間でもセックスについて真面目に話し合う習慣がありません。若い頃は勢いに任せたセックス、結婚後は子どもを作るためのセックスはできるのですが、コミュニケーションとしてのスキンシップの使い方を学んできませんでした。
 カウンセリングでやることは、愛情のコミュニケーションとしてのスキンシップの大切さを理解します。
そして、夫婦お互いがスキンシップについてどう感じているか話し合います。
二人にとって心地よいスキンシップのあり方を話し合います。

このように説明するのはシンプルなのですが、実際はそう簡単ではありません。
学校で英語はたくさん学んできたはずですが、使いこなせません。使おうとしても怖くなって止めてしまうのと同様です。
怖がらず、練習あるのみです。
練習を積み重ねれば、必ず三つの言葉を上手に使いこなせるようになります。
そうすれば、幸せに満ちた夫婦関係が成就できます。

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