2020年7月31日金曜日

高山村民価格を設定した理由

料金規定を改定し、高山村こころの診療所での診察料に、
「高山村民価格」を設定しました。
  • 高山村にお住いの方は半額です。
  • さらに、尻高の役原地区の方は無料、もしくは農作物・薪の原木など。
その理由を説明します。
群馬は私の「こころのふるさと」です。
私の父親の実家は四万温泉です。子どもの頃、よく家族で里帰りしました。
結婚して子どもたちが生まれ、彼らに自然を体験させたく、草津温泉の近くに小さな別荘を買いました。
ひとり目の妻は万座温泉スキー場から昇天しました。

移住するにあたり、高山村がとても気に入りました。
四万温泉のような谷間の集落ではなく、中山盆地は田畑で満ち、谷川岳や北アルプスのような急峻な岩山ではなく、子持山や三並山などなだらかな緑の山々に囲まれています。
高山村は、道の駅「中山盆地」、ロックハート城、群馬県天文台があるくらいで、温泉地などの観光資源も宿泊施設もほとんどなく、4千人に満たない人たちが暮らしています。
私自身は東京生まれです。ずっと大都会で生活してきて、還暦を過ぎて移住してきた新参者です。
どうやったら、村の一員になり、村の人たちと共に安心して生活できるだろうか。
どうやったら、村の中に私がいる意味を見出すことができるだろうか。
農業も林業もできない私ができるのは「こころの診療」くらいしかありません。
この価格設定は、村の人たちのためでもあり、私自身のためでもあります。

私が住む高山村の役原地区は60世帯ほどの小さな集落です。
先日、初めて村の寄り合い集会に参加しました。
まるで大家族のように、地域の問題をみんなの力で解決しようと真剣に話し合っていました。
良い意味でも悪い意味でも、都会では見られない凝集性の高さです。
私ができるのは「こころの診療」くらいです。季節の新鮮な野菜とか薪の原木とか、お気持ちをいただければ何でも良いんですよ。

また、高山村で私の思い描く心理臨床を実践したいという思いもあります。
群馬で50年前に始まった「生活臨床」は、本人の「生活」に焦点を当てて、精神病などを立て直していこうという取り組みです。全国に広まりはせず、今ではあまり盛んではありませんが、榛名病院の院長がその継承者でもあります。群馬の地で生まれた視点であるというのも、何となくわかります。
北海道の小さな浦河町で始まったべてるの家の取り組みは、当事者も支援者も一緒に生活して、徹底的に語り合うことで精神病の回復を目指します。その活動は有名になり、全国から患者さんたちがやってきます。
Open Dialogueはフィンランド北部の過疎の極寒の地から始まった、これも関係者たちが集まり、徹底的に語り合う取り組みです。
これらのユニークな臨床は、一般的なお薬中心の精神医療とは一線を画し、人と人とが出会い、言葉をたくさん交わすことで問題を解決します。傷つける言葉を、癒しの言葉に変換していきます。ナラティヴ・セラピーもそのような考え方です。
そのような実践をここ高山村で展開してみたいと思います。

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