2012年9月15日土曜日

無気力な生活: 親ができること

お子さんが何にも関心を持たず、やる気がないことが心配なのですね。
学校でいじめられたから友だちに会いたくない。人が大勢いる場所に入ると威圧感に圧倒されるのですね。

二つの考え方があると思います。
A) ひどいいじめがトラウマになっている。
B) それほどひどいいじめではなく、この時期の子どもたちならよくあることなのに、人間関係にうまく馴染めないタイプ。

よく話を聴いてみるとどうも後者のようですね。
前者だとすれば、トラウマをうまく治療すれば済むことです。
後者だとすれば、これからのお子さんの人生についてなおさらご心配でしょう。

お子さんは今まで困難な状況から逃げてきたと、親はみていらっしゃるのですね。
友だちとの人間関係や、大学受験など。
できない自分を正当化してきたのでしょうか。
そうだとしたら、思春期の今が正念場です。今、こうやって相談に来たのは正解です。
思春期は今まで経験しなかった困難さに直面します。その代表格が大学受験であり、どの子にとっても困難です。

・この困難を乗り越える力を獲得するか。
・乗り越えられず、逃げたり避けたりするパターンが身に着くか。

ここで、親の力が発揮されます。
親としてお子さんにしてあげることはたくさんあります。子どもにとって、親は最大の支援者です。
今、お子さんが逃げようとしている部分に向き合ってあげてください。

・なぜ避けているの?
・その原因はなに?
・どんな体験があったの?誰が、何をしたの?
・そしてあなたはどう感じたの?

そんなことを丁寧にゆっくり尋ねてあげてください。
お子さんが嫌がっても構いません。
「ほっておいてくれ!そんなこと言わないでくれ!」
そのようにお子さんは抵抗するかもしれません。
弱い子どもはそうやって自分を守るための防衛線を張ります。
その防衛線を破り、突っ込んでゆけるのは、信頼できる親だけです。
お話を伺うと、お子さんとの間に十分な信頼関係が築かれていますね。

(注:もし、親子の信頼関係が十分でないのでしたら、突っ込んでしまったらとても危険です。やらないでください。)

本当に突っ込んでよいのかご心配ですか?
大丈夫です。この子は突っ込まれても耐えて乗り越える力を持っています。
もしかしたら、親のあなたは、この子が「弱い子」と思い込んではいませんか?
確かに弱い面もお持ちです。
しかし、100%弱い子なんて存在しません。だれでも、弱い部分と強い部分の両者を持ち合わせています。
その割合が人によって異なるだけです。

それに、思春期は弱い部分を強い部分い変換してゆく時期です。
強い部分を育成するためには、弱い部分を隠すのではなく、試練を与え、それを乗り越える体験を持たせてあげましょう。
この子は「弱い子」という親の前提があると、突っ込むことはできませんね。崩れてしまうことが不安です。やさしくそっとしてあげるだけです。
いや、この子は「強い部分も持っているはず」という前提があれば、子どもに強く向き合うことができます。

乗り越えさせるとはどういうことでしょう?
何かを強制させることではありません。
選択肢を与えてあげてください。
・学校に行くこと
・大学受験を目指すこと
・専門学校を目指すこと
・学歴にはこだわらず、手に職をつけること
・とりあえず、アルバイトをやってみること
・どうしてもやる気が出ないから、カウンセリングに行くこと
どれを選ぶかは本人の自由です。
しかし、今のように「何もせずゲームしかしない」という選択肢はありえません。
そのことは、親からしっかり伝えてあげて構いません。
そのようにして、お子さんを導いてあげてください。

でも、そこまで自信がありませんよね。
親として子どもに向き合う自信です。
それを回復することが大切です。

・どこに親の自信を置き忘れてしまったのですか?
・どのような経緯で「この子は弱い子だ」と確信されるようになったのですか?

そのあたりのことをもう少し深くお聞かせください。
この子はどれほど弱い部分を持っているのか、どれほど強い部分を持っているのか、検討しましょう。
そして、
a) どれほど弱い部分を守ってあげるべきか、
b) 強さの可能性を信じて試練を与えられるのか、
検討しましょう。

それがご両親とのカウンセリング:子どもと向き合うための作戦会議です。

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