2020年4月15日水曜日

コロナ緊急事態と講座・スーパーヴィジョン

東京など7都府県に(新型コロナウィルス感染拡大)緊急事態宣言が出される直前の週末に、大森相談室で開かれた二つのグループについて紹介します。

4月4日(土)の家族療法コンサルテーションには、近所にお住いの1名の方が相談室に来訪し、3名の方がZoomで参加しました。

4月5日(日)のグループSV(スーパーヴィジョン)には来訪した方はおらず、7名の方全員がZoomによるオンライン参加でした。皆さんの居住地は大阪、新潟、山梨、茨城、東京など全国に及んでいます。

両者の対象者・目的などは微妙に異なりますが、私としては似ている部分があるので、両方の「振り返り」を取り混ぜてご紹介します。
色で分けます。

4日(土)の家族療法コンサルテーション→緑色
5日(日)のグループSV(スーパーヴィジョン)→青色

1)コロナの影響について

  • ひきこもりを強いられる生活が続く中で、参加して、すっきりしました。対面ではなくても、画面を通じて対話して、そこから考えていくことが、支援者である前に人として、エンパワーにつながると実感しました。
  • コロナの心配ももちろんですが、大森や群馬までの距離や、時間のやりくりを考えると、これからもZoomで積極的に参加していきたいと思います。 
  • コロナのことを考えると‥、どうしても陰鬱な気持ちになりますが、そのことが2時間近くすっかり頭から離れていたのは大きな救いになりました。
人と関わり、言葉・自分の気持ちを発し合うことはとても大きなリフレッシュ、ストレス解放になりますね。

2)Zoomの利用について

  • Zoomで参加することができ、とても便利でありがたいと思っております。
  • この事態なので、zoomでの参加ができるのは助かりました。ただ、やはり対面での方が話しやすいのだろうとは思います。

  • 全体としては通常のGSVと変わりない、安心できる雰囲気の中で参加できました。時に接続が切れがちになることはありましたが、それは対面であっても声が聞き取りづらいタイミングもありますから、同様かなとと思います。都度、聞き直せばよいのかなと思いました。全員がZOOMだったので、顔が一人ひとり見えるのは良かったです。
  • zoomは仕事で使っていたこともあり、楽しみにのぞみました。私ひとりだけが現場だったため、途中、皆さんへの投げかけなどに、先生がやり辛さを感じていないかと気になりました。全体を通じ、対面よりも先生がお気遣いくださっているおかげで初対面同士のメンバーでも、コメントしやすい場作りがありがたかったです。
  • 前回は現地にいる皆さんの中にzoomでの参加でしたが、今回は全員がzoomという同じ条件だったので非常に参加しやすかったです。話す側、聴く側の両面、支障が少なくてよかったと思います。
今までは現場でのリアルな参加と、ネットを介したバーチャルな参加をミックスしていたのですが、今回の皆さんの感想から、混同しない方が良いのではと考えました。現場の方がコミュニケーションの密度が濃いので、両者ではどうしても温度差が生じ、参加しづらくしているのかもしれません。今後の会の開き方を検討します。
  • 画面を通して発した自分の言葉の影響を掬いあげることが難しい時があるので、またこちらの伝えたい思いが伝わっているかどうかわかりづらいのが大きな難点だと思いました。
  • どのタイミングでどの程度、自分が話す時間をもつかということは、気を使いますね。物理的な位置関係や視線の使い方は別の工夫が必要な気もしました。リフレクションの位置を取ることでの安全性の担保が可能か。
オンラインでは「相手 vs. 自分」という二者関係を作り出すことはできますが、三者以上の多人数の関係性や「場の雰囲気」を作り出せないように思います。表情は重要な非言語メッセージです。Zoomで一人ひとりの姿をアップで写せば表情をよく読み取れますが、部屋全体、グループ全体を大写しにすると個々の人の表情までは読めなくなってしまいます。
目線の位置も重要なメッセージになります。リアルな現場で対話する時、相手の目を見たり、視線をそらして他の方向を見たりすることで、相手との距離感や感情を表現できます。しかし、オンラインだと目を合わせようとしても微妙に視線がずれてしまいます。それは画面の中にいる相手の位置と、端末(PCやスマホ)のカメラの位置が近いものの違う位置にあるからです。画面の中の相手の目を見ても、その相手からは視線がずれているように感じます。相手の目線に合わせるためには画面ではなく、カメラを見つめなくてはなりません。
またグループ、つまり三人以上の人たちが参加している場合、誰が誰を見ているかと視線の位置関係が重要です。現場にいれば簡単にわかりますが、Zoomだとお互いの目線の位置、つまり誰が誰を見ているか、どのような視線のメッセージを交換しているかといった微妙なコミュニケーションができません。お互いの力関係や、次に誰が発言するかなどが見えにくくなります。したがって、オンライン会議ではグループの構造・雰囲気を意図的に誰かが(ここでは私がその役割を担うわけですが)作った方がやりやすいように思いました。
  • 文字の資料がある場合、zoomではっきり見えるように何か方法があればありがたいと思っております。
できますよ。Zoomでは添付書類やチャットなど、文字を使う様々なデバイスが用意されています。今回は使いませんでしたが、次の機会に試してみましょう。
  • zoomでの機会を増やしていただきたいです。先生のご都合がつきましたら、朝や夜の時間も相談いただきたいです。
はい、増やします。Zoomでしたらクライエントさんも私も自宅から出来ますので朝や夜の時間帯でも都合をつけやすいですね。

3)支援者 vs. 当事者

  • 課題を持っている人たちの集まりに対して先生の講義がメインの勉強会を想像していたのですが、それぞれの参加者が当事者としての感覚も持ちつつ、またプロとしての意見を出し合うという形式が斬新でした。
  • 自分以外の方の悩み、それに対する解決法を聞く事で、自分の事も客観的に考えるきっかけになったと思います。
  • 先生はもちろんの事、参加されている方々が、とても穏やかで、話しやすかったので、安心して参加できました。
  • 私自身も悩みの渦中で、人の家庭に対して意見をできる様な知識も経験も無いので、少し発言するのに躊躇してしまう気持ちもありました。
  • 私が抱えている家族に対する悩み、不安は、そのまま投げかけるのには整理ができていないと思います。一度先生に個人カウンセリングをしていただいた上で、皆さんの色々と意見をお伺いしてみたいです。また、悩みの元になるキーワード(例えば私の場合、父性や、自己肯定感など)について、事例や相談を絡めて話し合う等しながら学んでいけたらと思います。
  • 私わかっている人」というスタンスで参加してしまったらどうしようと思っていましたが、自分としてはあまり支援者という感覚なく、セルフヘルプ・グループのような気持ちで参加しました。話題を提供してくれた方が非常によく内省されておられ、しかも相手の立場や気持ちもよく理解しておられるように見えたので、支援者なのかな?と思いました。
家族療法コンサルテーションに参加される方々は、
私、問題や悩みを抱えている人(=当事者)
あるいは、
私、わかっている人(=支援者)
の仮面をつけて参加されます。
しかし、それはとりあえず身につけた仮面に過ぎず、誰でも当事者・支援者両方の仮面を持っています。大切なことは仮面の下にある人間性を語り、言語化して、整理して、客観視できるようになることです。そうすれば、自ずから自分自身の解決策(セルフ・ヘルプ)も、他者に対する解決策(支援策)も見えてきます。

そのことはグループSV(スーパーヴィジョン)でも全く同様です。

  • 語るうちに感情が溢れてきてしまいすみませんでした。「自分ひとり助けられない」ということは、専門職としては失格で、この業界から永久追放されるくらいの怖さがありました。知識や技法で全て解決できないように感じていたことを話して、それが否定されない場というものを、初めて経験しました。弱さが垣間見えただけで、同じような弱さを持つ支援者から攻撃されてしまうという繰り返しがあり、自分が変わらない限りは、現場へ戻れないと思ってきたのですが、今日、何となく、一区切りついたような気がしました。当事者としての自分や、出会ってきた人達があり、疑問があり、それが支援者としての在り方を考えさせることにもなっていたので、内包させたまま、どう自分の中でまとめていくか…今日感じたことを、ゆっくり深めたいと思います。

皆さん、専門家・支援者の仮面をつけて参加されますが、深く話し合えば人間性・当事者性に自ずから行き当たります。それはごく自然なことです。しかし、戦場(支援の現場)では仮面(鎧)をつけていないと相手に攻撃されてしまいます。頑丈で相手にうまく突き刺さる仮面を求めて、努力を重ね専門性(知識や技法)を身につけます。素手で戦う(支援する)わけにはいきませんから鎧や武器(専門性)を獲得するのは必要ですが、それだけではうまく使えません。その下にある本来の自分を鍛えないと、やたら武器を振り回すだけになってしまいます。
私が目指しているのは、仮面を脱ぎ、本当の自分(人間性)を見せ合い、認め合える場所です。そのことがいかに大切であるか、実感していただけて良かったです。これはどちらの仮面を付けている人にとっても大切なことです。

  • 今日のSVの内容には専門性に関する視点、トラウマや摂食障害など重い状況に対する対応などあげられ、とても勉強になりました。一番感じたことが、軽い状況でも重い状況でも、相手を自分と異なる1人の人間として尊重して落ち着いて聞くことが大事だということです。
  • 対話して、そこから考えていくことが、支援者である前に人として、エンパワーにつながると実感しました。資料なしで、スーパーヴァイザーとの対話を通じて引き出されてくるものがあるなと思いました。逆に言えば、何のつながりもなく、声も発することもない状態が続くことの怖さも感じました。
それは、コロナウィルス非常事態にある世界の我々の状況であり、

多くの「当事者」たちが抱えている世界でもあります。
人と繋がり、声を発することの意味・大切さを、今、我々は体験できますね。
  • 引き続き、クローズドでのGSVを希望します。日曜日の午前だと、都合の合わない日もあるのですが、なるべく参加して、家族療法やSVの意義について学んでいければと思います。

今年度は、スーパーヴィジョンの機会を増やしたいと考え、今プランを立てています。

4)お芋掘り
今回、話題を提供していただいた方からの振り返りです。

  • 自分の初めての担当する相談ケースを出させていただきました。もっと情報収集が必要であることを実感しました。多くの問題を抱えてるクライエントさんに対して、あれもこれもといろいろな所に目がいっていた自分でしたが、「一つ一つ丁寧にお芋掘りをして行く」という田村先生のお話を聞いて、焦らず一つ一つ丁寧に向き合っていこうと思いました。

お芋掘り」の比喩はカウンセリングの考え方を説明する時に私がよく使う比喩です。大切なことなので、別稿て説明します。

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