2012年12月7日金曜日

International Case Conference


研修でマレーシアに来ています。
韓国、台湾、イスラエル、アメリカ、マレーシア、日本。
今回はこのメンバー6名でクアラルンプールで「国際ケース会議」を開催しています。
もうかれこれ10年ほど前から年に1−2回、国際学会の前後に開催しています。
学会などで知り合った世界各国からの家族療法家が集まり、自分たちのケースを提示して議論します。普段やっている臨床家の仲間や学会でのケース検討会に比べると、お互いの文化的前提から議論するわけで、とても深い議論ができます。
例えば、私が「ひきこもり」のケースを提示すると、そもそも「ひきこもり」とは何ぞや、なぜ日本でそんなに問題になっているかということから説明しなくてはなりません。なぜなら、日本(それに韓国)以外の国では、ひきこもりに該当する現象は見られても、日本ほど数が多く、大きな社会問題になっていないからです。
なぜ日本(と韓国)に多いのかということを議論するなかで、日本的な家族関係は社会状況が見えてきます。たとえば、
  1. 心情的に密着した母子関係
  2. 心情的に切り離された父親と思春期の子どもとの関係
  3. 遠慮し合う家族間のコミュニケーション・パターン
  4. 精神的に「巣立つ」ことなく、一生をとおして切り離されることのない親子関係
  5. 家族や学校からの高い教育期待
などです。これらは、日本国内では「当たり前」のことだから、あまり議論されません。
文化背景を共有する仲間からは出てこないような「予想外の突っ込み」が、自明としていた「常識」に疑問を投げかけ、思わぬところから事例の理解を深め、新たな解決策が見えてきます。
昼間は集中して議論し、夜は仲間と楽しい会食です。
来週はシンガポールで学会です。