2014年3月4日火曜日

新刊書の冒頭部分のご紹介です

うちの子が長い間ひきこもっています。
何も言わなければ平穏な日々なのですが、「これからどうするの?」と将来のことを話するとイライラして暴れだします。
何も言えないまま何年も経過しました。どうしたらよいでしょうか。

 私は精神科医として、また家族療法家として、ひきこもりの家族からこのような相談を数多く受けてきました。
 困った状態が長い間続いています。その間、いろいろ本人に働きかけたけど、うまくいきません。なぜひきこもっているか理解できない。親としてどうしたらよいかわからない。どうすることもできないと諦めていす。

 私がこの本で一番伝えたいことは、家族ができることがたくさんある、諦める必要はないということです。家族が元気を取り戻し、子どもと関わる自信を回復する方法をお伝えします。家族はとても大きな力を持っています。家族がその力を活用し、前を向いて子どもと関わると、子どもも前を向いてひきこもりから抜け出すことができます。

(中略)

  一日中家にいて好きな時間に起きて、好きな時間に寝て、やりたいことだけをやっていて、まわりからは自由気ままに楽をしているように見えます。しかし、心の中は全く自由ではありません。人と関わる自信を失い、将来が見えない不安を抱え、悩み苦しんでいます。
 家族も同様です。親としてどう関わって良いか見失い、自信を失っています。親のしつけや関わり方が悪かったとまわりから責められ、親としての自分を責めたり、夫婦がお互いを責め合うなど、親も傷つき、心を痛めています。

 その結果、親が子どもに関わる自信を失い、子どもは社会の人々と関わる自信を失うという自信喪失の二重構造に陥ります。どうしたらこの悪循環を断ち切り、家族も本人も元気になれるのでしょうか。その答えを求めて、私は3年間ロンドンで家族療法を学びました。

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の「まえがき」の冒頭部分をご紹介しました。

2014年3月3日月曜日

新刊のご案内



田村毅著「ひきこもり脱出支援マニュアル:家族で取り組める実例と解説」(PHP研究所)

やっと二回目の校正が終了し、私の手から離れました。多分、3月の下旬頃に全国の書店に並ぶと思います

昨年末12月くらいからお尻に火をつけて(笑)、必死に書いていました。仕事と家事と友だちとのお付き合いと(スキーや会食など)、生活に必要な時間以外は、お正月休みもすべて執筆に費やしていました。だから年賀状のお返事もまだ書けていません。

ここ最近のブログの記事も、この本の原稿を書きながら、つまみ食い的に紹介していました。

実は同じ出版社から10年以上前に斎藤環が「ひきこもり救出マニュアル」という似たタイトルの本を出しています。彼と私は若い頃、同じ研究室にいたので発想が似ている部分もありますが、かなり私の個性を出してしまいました。それは、家族療法の視点に、私自身のキャラである「熱き想い」が加わったのかなと、校正で自分の書いた文章を読み返して感じました。そういう「想いを伝える」というあたりが私の生き方であり、臨床場面にも現れていると思います。人と人との熱い関わりを取り戻そうとする姿勢ですね。

本書は、ひきこもりのお子さんを持つご家族へ語っています。
次は、「男性」の内面に語りかけるような男性についての本を構想しています。