2021年5月18日火曜日

自分を出すこと(グループSV)

先週土曜日のグループSVはオンラインで5名の方が参加されました。
3時間のSVで、二人の方が事例を提示されました。
振り返りをご紹介します。
 
またたくさん語らせていただき、私ったら要約しすぎて大事なポイント伝えてなかったなと自分自身の抜けっぷりに苦笑でした。でもたぶん日常に紛れて埋もれがちな、でも実はケースにとって大切な要素だったのかなと、皆さんと議論する中で気づく感覚もありました。
話をしている中では、ひとつひとつのプロセスをこなしていくのに必死で、一所懸命で、つい全体を見ることや、ケースの本質の部分から離れてしまう部分もあるということなのかなと思いました。
後、ケースを知るために聞かれるというか深められるプロセスはSVの安全な場の中であってもドキドキする体験でした。クライエントの方も味わっていることなのかもしれません。
ある意味では皆さんに私が煮たり焼いたりされる過程は相談のプロセスとも似ているのかもしれないですね。とてもエネルギーを使う、でもためになる体験でした。
先生のスキーのコーチの例えはとても斬新で、勉強になりました。目の前に現れてくる課題をクリアにしながら、それでも根本となる体幹を鍛えたり、重心を捉えたりする視点を大切にこれからもケース運営をしていきたいと思います。

よく言われることですが、ケースを出すこと自体がケースについて考えることなので、それが一番大切なことだと再認識しました。

確かに、自分を出すことは勇気のいることです。
支援者は自分が関わるケースを
クライエントは自分の感情や体験を。
自分を出せば、痛いところ、弱いところ、ダメなところ、いろいろ出てしまいます。
恥ずかしいからね。ドキドキですよ。
だから、ついごまかしたくなって、自分じゃない別のものを出すんですよ。
支援者はSVで自分を出さずにクライエントを出したり、
患者は自分を隠して、体の病気を出したり、子どもを出したり、連れ合いを出したり。。。

でも、そのあたりは開き直った方が良いと思います。
素の自分が恥ずかしい、、、と思う部分を変えるんです。
もちろん、ハダカの自分は恥ずかしいですよね。
よっぽとルックスや身体美に自信があればそうでもないかもしれませんが、ふつう、素の自分なんて人に見せたくないものです。

なぜなら、自分はマトモである、、、と思い込みたいから。
でも、よく考えるとそのあたりに無理があるんですよね。
人は誰でもマトモでありヘンでもある。。。その両方を持っている
と思えばよいのです。
半々だったり、6割・4割だったり、人によってその割合が多少違うだけであって、すべて100%マトモな人なんているわけないし、すべてがダメな人もいるわけがない。
誰でもダメでヘンな部分を持っているわけです。
そう思えば、別に自分のダメな部分、弱い部分を出しても恥ずかしくはありません。
むしろ、それを出す勇気があるってすごく素晴らしい強さじゃないですか。
患者さんでも支援者でも、ちゃんと自分のダメさを開示できる人って強い人だと思います。

SV場面でも、相談治療場面でも、痛い部分を持っているのなら、ちゃんとまな板に乗っていただいて、煮たり焼いたりされると痛い部分から解放されるばかりでなく、人間として真の意味の成長に一歩近づけると思います。

まあ、こういうことは理屈では納得するのですが、実際に、自分を出すとなるとドキドキ体験ですよね。
それはよくわかります。

2021年5月3日月曜日

家族の距離感(家族療法教室)

5月1日の家族療法教室には15名(オンサイト7名、オンライン8名)の参加がありました。
参加者からのフィードバックをご紹介しながら、内容についてご紹介します。

今回の事例、先生の関わり方、アプローチの仕方や家族の関係性の変化がよくわかりました。

はじめに私が関わった事例を紹介しました。
次に、具体的な話から深め、その背後にある考え方、つまりアセスメントや支援方法についてお話ししました。

目の前のクライエントだけでなく、その家族との関わり方のポイントをいただくことができました。現場で実践していきます。

木を見て森を見ず。
ごくごく当たり前のことなのですが、心理臨床の場でその視点をどう活用していくか。
家族療法はその一言に尽きるかもしれません。
従来の精神医学や個人心理療法のアプローチは、いかに問題を持ったひとつの木に注目し、内面を深めていくかという視点です。個々の木の特性と、森全体の特性を結びつける視点は、家族療法に独特です。

困っている母親の様子や父親の態度を具体的にイメージすることができました。母親の苦しみは消えていないのだと思いますが、A君は母親と距離をとり自立に向かっていると感じました。治療のゴールは子どもの問題解決でしたが、母親が自分のゴールを決めて自ら治療を求められるようになるといいと思いました。

視点を広げて周りの木々も見れば、どれも大変だし苦労を抱えています。
個人療法の考え方では、どの木を治せば良いのか視点がぼやけてしまいます。
家族療法の考え方では、周りを見渡すことで、新たな有効な視点を獲得できます。

家族の距離の大切さを実感しました。
関係性を調整することで様々な課題が解決に向かっていく。家族療法には希望があります。当事者同士の煮詰まった関係にうまく介入できる支援者でありたいと思いました。

今回は、家族療法の中でも構造派(Structural model)の考え方を紹介しました。
木々の相互の距離感は、個々の木の成長と、森全体の成長のステージによって変化していきます。近すぎても良くないし、遠すぎても良くありません。

関係性が自然に変化する方法として安心の場を作るということが勉強になりました。そのためには私自身がいかに安心していられるか。今後はその辺りをポイントにいろいろやってみようと思います。
家族、先生、友人:関係性の距離を調整するとても大切なところ、フォーカスするポイントに気づきました。

健康な森は、成長とともに木々の距離感が自然に変化します。
陽の光が不十分だったり、風が強かったり、土壌の栄養分が足りなかったり。
環境が厳しくなると、森は頑なになり、木々の距離を変化させて成長できなくなります。
そのような森に、どのように入り、どのように元気さを取り戻していくか。
そのやり方について、今後の教室で説明していきます。
いろいろな森をご紹介しながら。