2010年5月8日土曜日

新幹線の中(話し言葉と書き言葉)

書くmethodにもいろいろある。
1)こうやって、ペンで紙に書く。人に見せるわけでもなく、後で自分で読み返しながらPCに打ち込むわけで、悪筆でも、後で自分が読めさえすれば良い。時に、自分でも判読不明な時があるから困るけど。
2)PCに直接打ち込む。今まではこれが多かった。多分、書くスピードはブラインドタッチでこれが一番早いし、楽だ。しっかりとした、人に読ませる文章を作る時はこれが一番良い。
それに比べると、手書きは人に読ませるというより、その前の段階の、とりあえず自分の頭から出てくる泉をemptyにするために書きとめる感じで、あまり他人様に読んでもらうということは意識していない。それは、PCで清書する段階で考える。
3)iPhoneのフリック入力。小さなモバイル端末で、どう効率よく日本語入力できるか考えだされた方式なんだろうけど、まだ始めたばかりで、キーボードのblind touchに比べると、慣れていない。戸惑いがちだし、時間もけっこうかかる。これにもっと慣れれば多分、キーボードに劣らない効率で書けるようになる気がする。まだ、今はおそるおそる操作している感じ。

今日の講演のテーマは、相談活動における話し言葉と書き言葉。もともと、相談や心理療法(カウンセリング)は、直接会って面談して、話し言葉を使っていた。いのちの電話とか、電話相談でも、使うのは声による話し言葉。
ところが、メール相談とかが出てきて、文字による書き言葉で相談やカウンセリングをやろうという話になってきた。それって、どうなの?できるの?どうやって?ということを、これから京都で話すわけ。今、それをこうやってイメージトレーニングしてるんです。

(ここで、小便で中座。コーヒー飲むのは気が休まるんだけど、時々、席を立たねばならない)

今、ここでやっている作業は書き言葉でしょ。
それと同じ内容を講演では話し言葉で表現します。同じ内容でも、表現の方法、伝わり方が微妙に、というかかなり異なります。
書き言葉は、まず自己語りなんですよね。自分で文字を書いて(打ち込んで)、まず自分でそれを見ます。その後、相手(だれか)に見せるわけ。話し言葉は、自分で確認せず、発した瞬間、相手に伝わってしまいます。面談でも、電話でもそうでしょう。直接、相手に伝わらない場合の違和感は、留守番電話にメッセージを録音したことのある人なら経験済みでしょう。大学で講義していていも、学生たちが熱心に聞いている場合と、居眠りしている場合じゃあ、話し易さが全然違うんです。
要するに、他者との関係性の中で発せられるのが話し言葉で、ひとり、自分の世界で表現されるのが書き言葉です。話し言葉は、そこに相手が必要だけど、書き言葉は、相手がいなくても成り立ちます。書いた後、手紙とかメールで相手に伝えても良いし、日記みたいに、他の人には見せなくたって構わないのです。もし、話し言葉で、それをやったら、独語。気持ち悪いし、統合失調症の症状になってしまいます。

もうひとつの違いは、メッセージが残るか残らないかということ。話し言葉は、録音でもしないかぎり、消えちゃう。
(スタバのグランデサイズは、京都まで十分持つ)
書き言葉は、ずっと残る。正の・負の財産として。
正の財産⇒本や記録として、知識として残して、後からそのメッセージを再現して、再利用できる。
負の財産⇒残したくないメッセージまで残ってしまう。Mis-communicationは日常たくさんあるわけで、話し言葉なら消えて曖昧にできるけど、書き言葉はmismatchがずっと残ってしまい、再現されてしまう。どうしても慎重にならざるを得ない。

話し言葉は簡単。書き言葉は面倒くさい。
話し言葉はアナログ。符号としての言葉はデジタルだが、それ以外にたくさんのnon-verbal messageを使用する。考えていること、特に感情はアナログの世界。言葉になんかできない。言葉に変換したら、本当の感情は消えてしまう=変容してしまう。そういう意味で、話し言葉は生の感情表現に近い。
文字は完全にデジタルの世界。アナログなnon-verbal messageはほとんど使えない。考えや感情をデジタルで表すって大変な作業。AD変換しないといけない。だから、難しく、やりにくい。
でも、それができたら、効果は絶大。変換すること自体、書き表わすこと自体に意味がある。さらにそれが他者により承認されれば、「公式な記録」になる。ゴルフスコアのアテストみたいに。自分の感情(人生)の物語を著述することになる。
ぜんぜんnegativeなwritingに終わってしまうこともあるのだが、therapyの効果を記述の変化から直に読みとることができる。すべて記録に残るから。
一方、話し言葉は感情表出に向いている。
表出しやすい。受け手も共感しやすい。感情(アナログ)のままでのやり取り。その中で、安心感、生きがい、自信を生みだすことができる。動物の交尾や鳥のさえずりみたいなもの。一緒にいる、同期している、interactiveに反応し合うことで、メッセージが成り立つ。

以上をまとめると、
話し言葉⇒ロジャース風の、共感性を中心とする考え方に向いている。原始的(感覚的)な癒し。
書き言葉⇒人生の再著述(narrative therapyの考え方)に向いている。

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