2014年11月8日土曜日

田畑先輩

今日も、よく仕事をした!

帰り道に立ち寄ったワインバーで心地よい疲れを癒し、ひとりふらふら商店街を歩いていたら、正面から自転車に乗ったおっさんがやってくる。道と視線を避けても、私のことをじっと見ている。

「なんだ、田畑先輩だ!チワっす!」
ニコっと挨拶を交わして通り過ぎていく。
この間およそ3秒の出来事でした。

田畑さんは中学の柔道部の先輩だ。
57歳と58歳の差なんてないに等しいけど、40年前の中1と中2の差は歴然だった。
部長だった田畑先輩はデカくて強かった。
私は小さくて弱かった。
でも、田畑さんは商業高校だったかな、に進学して、家業の中華そば屋を継いだ。
私は進学高から医学部に進んで医者になった。
だから何なの?

先輩とか後輩とか、ソバ屋とか医者とか、どっちが上とか下とか、意味を持たないよね。
田畑さんは後輩の面倒をよく見てくれた。
地元の商店街を通ると、ときどき見かけるんだ。
40年経った今でも、私のことを認めて微笑んでくれる。それだけなんだよね、彼との関係は。

そのような関係の集まりが、私自身の世界を構成している。
肩書や、職業や、収入は、私の世界を構成しない。
私のことを見ていてくれる他者との関係の中から、私の存在意義と、喜びと、哀しみが、生まれるんだ。

ほろ酔い加減で、そんなことを思った。

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