2013年2月1日金曜日

家族の凝りを解す

 30代の夫は体調をくずしてから仕事を休職し、自宅にひきこもってしまいました。
 夫の家族にはいろいろな問題がありました。ご両親の不和、嫁姑問題、子どものころ兄にずっといじめられ、誰も気づいてあげられなかったこと、父親が冷たいことなどです。
 夫は過去の出来事や子どものころから募っていた家族への不信感、職場の上司との問題などを一方的に話します。すっかり人間不信に陥ってしまったようで、自己評価がとても低いです。
 話したり、泣いたり、怒ったり、色々な感情を我慢せずに解き放って、立ち直りのきっかけになればいいなとは思うのですが、妻である私に対する不信感からか、夫婦でうまく話し合うことができません。
 彼に何とか立ち直ってもらいたいのですが、夫は病院へ行くのを嫌がるので誰にも相談できずにいます。

⇒生まれ育った家族の中にたくさんの問題を抱えていますね。でも、それはどの家族でも同じことです。多いか少ないか程度の差だけで、家族は必ず問題を抱えています。それらが本当にひきこもりの原因かどうかだれもわかりません。

 家族生活や仕事の中に、たくさん心の凝りが溜まっていらっしゃるようですね。心の凝りは気分転換をしたり、誰かに話したりして解すことができますが、それがある程度以上大きくなったら解すのが難しくなります。凝りのために気持ちがうまく動かなくなり、自信や自尊心を奪い、普段の仕事や社会生活にも支障が出てきます。体調を崩し、仕事に行けなくなり、ひどくなると外に出ることも自信を失いひきこもってしまいます。

過去の否定的な感情体験が積み重なった心の凝りは、話したり、泣いたりして感情を解き放すことが良い治療となります。しかし実際やってみてもなかなかうまくいきません。過去の辛い体験は思い出したり語ること自体が辛く、凝りの部分に触れるのは痛いし、恥ずかしいし、せっかく苦労して築いてきた自尊心をうばってしまいます。だから理屈ではわかっていても、敢えてそこには触れようとしません。

長年の重い凝りをほぐすためにどうしても必要なコツは信頼感と安心感です。この人なら聞いてくれる、わかってくれるという信頼が必要です。一番身近にいる家族はよくわかってくれるはずですが、逆によく分かり過ぎることが弊害になります。客観的な「相手の気持ち」として留めることができません。相手と自分の気持ちを切り分けることができず、どうしても自分の感情が入り、相手よりも自分自身が辛くなってしまいます。むしろ良いのは普段の生活は別に切り離されているけれど、本当に理解してくて、心を開き語ることができる友だちや専門家です。

 信頼できる相手に、思い切って自尊心や自信を奪っている体験を語ってみます。気持ちを解き放して「すっきりする」とはどういう体験なのでしょうか。それは、語ることが自信につながるのです。今まで人には絶対語ることができない、語ってはいけないと思っていた恥の部分、タブーの領域だったものを思い切って語ると、その事実・過去は変わらないけど人に語ることができる体験に変換されます。そうすれば、もう恥ではなくなり、自尊心や自信を奪うような体験ではなくなります。そして、気持ちが元気になり、身体の調子も良くなり、前向きな元気が出てきて、仕事や日常生活や人との関係もうまく回るようになります。

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