2019年4月19日金曜日

子どものことが気になりリフレッシュできません

Q)ひきこもっている子どものことが気になり、母親である私自身がリフレッシュできません。どう気持ちを切り替えたら良いですか?

A) あなたは、心のどこかで子どもの面倒を見続けようとしていませんか?
子どもの問題の責任をとり続けていませんか?

それは親として当たり前ですね。

子どもの健康や問題に気を使うのは当然のことです。

しかし、もう一歩深めて考えてみましょう。

もしかして、あなたは親である自分自身にダメ出しをしていませんか?
親のせいで子どもに問題が起きてしまったと思っていませんか?

シングルマザーのAさんの例をご紹介します。

Aさんはどうしても子どもに言いたいことを言えません。深く突っ込めません。
子どもに何かを言っても、何も返事をせず、親を無視します。
子どもから無視されると、拒否されていると感じます。
親が責められていると感じてしまいます。
子どもが本当に親を責めているのかはわかりません。何も言いませんから。
でも、子どもがAさんを無視するのは、そういう意味なんじゃないかと感じています。
Aさんは親としての自分を責めています。そのことに自分でも気づいていないのですが。


Aさんは夫婦の折り合いがつかず離婚しました。
夫は家に帰るとゲームばかりして、家族と会話をしません。仕事はちゃんとやっていましたが、家族と関わらないという意味では、夫は家族の中ではひきこもっていました。離婚後、ひきこもっている息子に関わってほしいと頼んでも、ひとつも関わってくれません。逃げています。
Aさんは、このような夫を選んでしまった自分を責めています。
離婚して、子どもたちから父親を奪ってしまった自分を責めています。
Aさん自身、はっきりそのことは自覚していません。この辺りのことは自分の弱点で、あまり向き合って考えたくありません。
何となく、子どもに済まない、と感じています。
だから、子どもに強く出ることができません。
どうしても引いてしまいます。

「ひきこもっていないで、社会に出なさい!」
本当はそう言いたいのですが、子どもに突っ込むことは、自分自身のダメさにツッコミを入れているようで、苦しくなります。
だから、その一言が言えません。

Aさんは、友だちとおしゃべりしたり、気晴らしに買い物に出かけたりリフレッシュしようとするのですが、心の片隅に息子への思いがいつも引っかかり、気持ちを切り替えることができません。


どう気持ちを切り替えたら良いですか?


息子さんへの気持ちを切り替える前に、
自分を責めている気持ちを切り替えましょう。
子どもがひきこもっているのは子ども自身の責任です。
親の責任ではありません。

いたらない親だったから、、、十分にしてあげられなかったから、、、
もちろん、Aさんは親として不適切・不十分なところがあったでしょう。
それと同時に、良い母親の部分も必ずあるはずです。
現に、もうひとりの娘は、しっかり前を向いて自立しています。
100%の親はいませんし、0%の親もいません。
Aさんは、良いところと不適切なところが6:4か7:3といったところでしょうか。
ひきこもっている親に大切なことは、親がいつまでも子どもの責任を取らず、子ども自身に責任を譲渡することです。

Q) ひきこもっている子を外の世界に興味を持たせるにはどうしたら良いですか?

遠慮せず、子どもを外の世界に連れ出してあげてください。
守られたウチの世界にいる子どもにとって、外の世界はとても怖いものです。
できればウチの世界に留まりたいと願います。
しかし、いつかは思い切って外に出なくてはなりません。
自分の思い通りになるピーターパンの世界から、人と折り合わないといけない汚れた市井に降りなければなりません。
元気な子は自ら思い切って飛び降りることができますが、慎重な子はそのタイミングを失ってしまいます。降りる前はドキドキですが、降りてしまえば何とかなるものです。

躊躇している子どもが安心してジャンプできるように、親が背中を押してあげてください。
もう外に出ても良いんだよ!
下界に降りていって良いんだよ!

子どもはイヤがるでしょう。抵抗するでしょう。反抗するでしょう。
でも引く必要はありません。
子どもも、本当は飛び降りないといけないと十分わかっています。それが怖いだけです。
子どもの不安感を拭い去り、明確なガイドラインを示してあげてください。

そのためには、親自身が安心していることが大切です。

まず親の自責を払拭し、子どもに引いてしまうパターンから脱却します。

朝の連ドラ「あまちゃん」のストーリーを紹介しましょう(2013年NHK放映)。

あまちゃんは内気でひきこもりがちな都会の高校生でした。
母親は自分の郷里である三陸海岸にあまちゃんを連れ出しました。
あまちゃんのおばあちゃんは海女さんです。
あまちゃんは元気に潜るおばあちゃんの姿に惹かれますが、とても海に飛び込む勇気はありません。
おばあちゃんは、躊躇する孫娘をいきなりボートから海に突き落とします。
それを遠くから見ていた母親はパニック。おばあちゃんに怒り、責めます。

あまちゃんの母親は高校生の頃、海女を継がせようとする母親に反抗し、都会に家出しました。

都会で生活し、結婚したものの、夫とうまくいかず、自分の娘も元気がありません。
母親は娘にも、夫にも、自分の親にも負い目がありました。
だから、自分の母親に向き合うことも、あまちゃんを前に押し出すことができません。
ところが、おばあちゃんはいとも簡単に孫娘を海に突き落としました。
突き落とされたあまちゃんはびっくりして一瞬パニックになりましたが、それがきっかけで海女の道を進み始めます。もちろんたくさんの失敗を経験しながらですが。
あまちゃんの母親にしてみれば、おばあちゃんは孫娘に対して無茶苦茶です。母親に対しても子ども時代に無茶苦茶でした。
おばあちゃんは手荒ですが、孫に強い愛情を伝えました。
海に突き落としても溺れることはない、という深い信頼があったのです。

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Aさんの話に戻しましょう。
Aさんは新しいパートナーを得ました。
自分自身の幸せを求めたいと思いながらも、息子のことが気になります。
彼は、息子も一緒に旅行に誘ってくれました。
外の世界に触れる良いチャンスです。
しかし、ひきこもっている息子が新しい人に出会うこととてもイヤです。息子から拒否され、Aさんとしてもそれ以上は息子に言えませんでした。
でも、彼に説得され、嫌がる息子をどうにか連れ出すことができました。
ウチではあんなにワガママな息子が、外では普通に振る舞う姿を見てAさんは驚きました。
家に帰ると、母親に対してはあまり語らず、相変わらずのお子ちゃま状態です。
しかし、これをきっかけに、息子もだんだんと外の世界に馴染んでゆきました。

そしてAさんは、リフレッシュして自分自身の生活を心から楽しむことができるようになりました。


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あなたはお子さんを信頼していますか?
お子さんは外に出て行ける力を持っていますか?
押し出したら親を恨むでしょうか?怒るでしょうか?

親の迷いや自信のなさが、子どもを迷わせ自信を奪います。

どうぞ、安心して子どもを連れ出してください。

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