2019年8月15日木曜日

話すことの勇気・聴くことの感動(研修会の振り返り)


2019年7月15日に群馬高山村で開催した「子どもと家族の研修会」には30名ほどの方が参加しました。参加者からの振り返りをご紹介します。
まずは、お話をしてくれた当事者の方の振り返りです。

事例として取り上げて下さったことに感謝しています。みなさんの前で話すのはとても緊張しました。でも、話すことができてとても良かったです。聴いて下さったことにとても感謝しています。あと、家族の力を引き出せたことに自分と彼を誇りに思います。家族療法の素晴らしさを身をもって体験しました。

参加者たちからの振り返りです(抜粋)。

とても力のある家族の物語を聴かせていただきました。お子さんは本当に自閉症スペクトラムなのかと思いました。大変な時があっても、サポートがあればよくなるという希望をプレゼントされた気持ちです。

自分の気持ちを人に話すことの不安を手放して、きちんと伝えられることの大切さを感じました。お子さんの大変な時に向き合い続けた母さん、変わらずに接し続けるお父さんの素晴らしさに感動しました。

お母さんが、
「この経験が誰かの役に立てば良いと思っている」、
「今は自分の未来を考えている。子どもは勝手に育っていくから」
の言葉に回復の姿、希望を見たような気がします。当事者やご家族の生の声を聴けることが、支援者として財産になりました。「苦しんできた人が一番幸せになる権利がある」苦しんできた人の言葉だからこそ、人を動かすことがある。希望に繋がっていくのだと思います。必ず幸せになれると、嬉しい気持ちになりました。

当事者の方のナマの声を聞かせていただき感動しました。マイナスの感情がゼロ地点からプラスの方向にベクトルが向いたところなので、聞いている私たちも明るく勇気をいただける時間でした。

お母さんがずっと悩み続けていらっしゃったことが良く伝わってきました。そして少しずつ変わってきているという印象を感じました。お母さん、お父さんの力強い言葉と正直な気持ちがとても伝わりました。人前で話すということは本当に勇気のいることだと思います。お話を終えたお二人のすがすがしい笑顔が印象的でした。

今日こんなに深い体験に触れられると思わなかったので、とても感動しました。ホントに力のあるお子さんですね。支援者という立場から、自閉症スペクトラムは都合の良い言葉として使われている側面もあると感じました(正しい判断である可能性もあるのかもしれませんが)。それから、純粋に田村先生の臨床力に感動しました。

当事者のお話をじっくり伺う機会がとても学びになりました。家族の力は支援者にはできない力を持っていて、家族を信じること、家族が資源であることを改めて振り返ることができました。最後に、お母さまが「今は自分がどう生きようか」「自分のことを考えている」という言葉が印象的で、お子さんの問題をきっかけに、夫婦関係やご自身のことも変わっていくところに、家族療法の醍醐味を感じました。

以上が参加者からの振り返りです。
次に、私自身の振り返りです。

<話すことの不安・緊張・勇気。聴くことの感動、、、>
自分を語ることはとても怖いです。心を開いても、聞いてくれず(受け止めてくれず)無視されたり、否定されて傷つくリスクを負います。
大切な人と繋がりたいと願っています。でもそのためには自分を見せないといけません。でも、怖いから自分を閉じてしまうと、繋がることができません。

<家族療法の醍醐味、、、>
この研修会自体が家族療法とも言えます。
まず、私が心を開き、みなさんと安心して繋がります。
すると、参加した方々も安心して心を開けるようになります。
そして、参加した方々がお互いに繋がることができます。

<言葉が人を動かす、、、>
人が繋がると、感動して、勇気が出ます。
すると、今まで怖くてできなかったことも不思議にできてしまいます。
言葉の持つ力はすごいですね!
薬の力で痛みを抑えることはできますが、人を動かすことはできません。

<自閉症スペクトラムは都合の良いことば、、、>
身体疾患(例えばガン、高血圧、糖尿病とか)は真実としての客観的エビデンス(例えば腫瘍マーカー、画像診断、血圧測定、血糖値とか)が可能ですが、自閉症スペクトラムに限らずほとんどの精神疾患には客観的エビデンスがありません。だから、確定診断はなされず、真実というよりひとつの仮説に過ぎません。
したがって、病名をいかに都合よく使うかということが大切になります。
都合の良い例都合の悪い例を挙げてみます。

  • 病名がつくと、医療機関が関われるようになります。病名がつかないと、医者は関われないし、医療保険も使えません。
    • 薬を飲みたくない(副作用や習慣になるのがイヤだ)のに飲まされます。
  • 病名がつくと、親のしつけの問題とか、担任の先生の力量不足とか言われなくなり、親や教師が自信を回復します。
    • まわりの人たちの関わり方の問題が見過ごされます。
  • 病名がつくと、教師やまわりの人たちが注目して、その人に合った特別な支援を受けられます。(本来、人はみな異なる特性を持つわけで、人それぞれに特別な教育・支援が必要なはずなのですが)
    • みんなと同じでいたいのに、特別扱いされて、特別の教育とか病院やカウンセリングを受けさせられます。
  • 病名がつくと、仕事が忙しい父親も、母親だけに任せておれず、大変だけど夫婦がよく話し合い、助け合い、夫婦仲が良くなります。(子どもに問題が起きなければ、そんなに話し合う必要もなかったのに、、、)
    • 「この子は障害を持っているんです!」「いや、甘えているだけだ!」と両親の意見が合わず、「そんなに怒らないで、叱らないで!」「お前がそんなに甘やかすからいけないんだ!」とケンカになり夫婦仲が悪くなります。


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