身体は常に動かして忙しいのですが、特に綺麗な景色でもなく、樹林帯を黙々と歩いているときは頭の中がヒマになり、いろんなことを考えます。
新しいアイデアなども浮かんできて、私にとってはなかなか楽しい時間です。
愛着(アタッチメント)に関する研修を今週末行うので、そのことを考えていました。
私が考える愛着について、どう説明したらみなさんわかってもらえるだろうか。。。
愛着には二種類あります。
安心の愛着(secure attachment)
不安の愛着(insecure attachment)
人と関わる時、自動的に安心感を持てたり、不安感を持ってしまったり。
この違いは大きく、理屈でわかっていてもなんともしようがないんですよ。
私、スキーが大好きなんです。
斜面を滑るスピード感覚はなんともいえない快感でとても幸せな気分になります。
バックカントリー・スキーはかなりのチャレンジです。
安全に整地されたゲレンデを飛び出し、自然の山の中に入り、自力で山を登ります。
1時間かけて山を登り、そこを5分で滑り降りるといった具合です。
多くはかなりの急斜面で、亀裂や岩や木や雪崩など、どんな危険が待ち構えているかわかりません。滑り降りるときは、不安が高まります。先にガイドさんが滑り、下で待っていてくれるのですが、身体が緊張しこわばっているのが自分でもわかります。
それでも勇気を振り絞ってなんとか滑りだします。
スピードが出過ぎたり、危険な直面に遭遇し、「怖い!」とビビります。
そう思った途端に、コケます。
バックカントリーでは、コケてはいけないんです。新雪の中では体勢を立て直すのがかなりきつく、身体を消耗し、遭難の危険が高まります。
ガイドさんに連れられ、一日山を登り滑っていると、1回か2回くらい、そういう怖さを感じます。
怖くてビビっている時の選択肢は二つ。
その斜面は滑らず回避します(avoidant)。
ガイドさんがいなければそうするけど、ガイドさんに促されれば滑り出すしかありません。
思い切って滑りだして、ビビって転んで失敗します(conflict)。
滑り出す前はビビりまくっていても、実際に滑り出すとなんとか上手く行くときがあります。
すると大きな快感に変わります。誰もいない大きな新雪にスピードをあげて大きくシュプールを描く滑降はなんともいえない快感なんですね。
だから、コケても懲りずにBCスキーを続けているのですが。
恐怖と快感は紙一重なんですね。
「怖い」と思ってしまうと、心のブレーキがかかってしまい、身体は緊張し、うまく滑れなくなります。
この斜面は「大丈夫」だ。俺でもこなせると思うと、身体はリラックスして、大胆にスピードを出すことができます。
愛着とは、親密な人と関わる時の自動的な気持ちです。
家族や恋人、友人など、親密な人と向き合うのは、時に怖く、時に幸せです。
理解してくれないかもしれない、否定されるかもしれない、攻撃されるかもしれない、、、そう思うと、たまらなく不安で怖くなります。
逆にわかってくれた、受け止めてくれたと思うと、とても安心して幸せな気持ちになります。
私は野菜が大好きです。
でも小学生の頃は大根、ニンジン、玉ねぎなど大キライでした。まずい(と感じていた)学校給食のせいかもしれません。キライなものを好きになれと言われても無理です。
キライなものを無理して食べても生理的に受け付けず、吐き出すしかありません。
親や先生から食べろと言われても、無理なものは無理なんですよ。
では、どうしたらいいのでしょうか?
愛着理論が体系化された頃は、無理なものは無理とされていました。
親しい人と向き合う時の愛着のパターン(不安か安心か)は幼少時に親(保護者)との関わりの中で決定する心の鋳型で、一旦それが出来上がると、一生その鋳型を使って人と接していくもの。鋳型は変更できないとされていました。今でも、多くの心理学者はそのように信じています。
精神分析はそのような考え方でした。子ども時代に「心」ができあがると、その経験は脳の中に刻み込まれ、成長したあとはそう変わるものではないとされていました。せいぜいできることとしては、そのことを自覚して理屈でどうにか対処するしかありません。
その後、学習理論(認知行動療法)やシステム理論(家族療法)が出てきて、心のパターンを変えることもできるという考え方に進化しました。認知行動療法では自分でそのパターンを発見し、徐々に慣らしていきます(脱感作)。家族療法では関係性を築き直すことにより安心を生み出します。
怖い斜面が、どうやって安心の幸せな斜面に変わるのでしょうか?
1)何度も経験するしかないです。
3回挑戦して、2回失敗しても1回くらいは成功するかな。気持ちよかったな!
その根底には、過去に成功した体験が必要です。
あの時、ダメだった斜面を克服できた(失敗もしたけど)。その体験があれば、失敗してもめげずに挑戦できます。
2)ひとりでは無理です。信頼できる人がそばにいること。
バックカントリーはひとりでは危険すぎます。
急斜面を滑り出そうか躊躇している時に、「さあ田村さん、行ってみましょう!」
とガイドさんが背中を押してくれると、思い切って滑り出すことができます。
万が一、失敗して危険な状態に陥った時は助けてくれるはずです。その期待が安心を生みます。
人は、痛い思いはしたくないものです。できれば避けたい。
しかし、ハードルを乗り越えなければ次に進めないこともわかっています。
信頼できる人と関わる中で、不安感を安心感に差し替えることができます。
、、、山でスキーしながら考えていた時は良い比喩だと思ったんですけどねぇ。。。
下界に戻ってこうやって書き出してみると、イマイチですかねぇ。。。
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