2011年9月7日水曜日

自転車日和

悲惨な水害をもたらしたノロノロ台風が過ぎ、青天がもどってきた。気温はまだ30℃近いが、今まで60%以上あった湿度が30%代まで下がり、爽やかな陽気、秋の気配。さあ、これからが自転車の良い季節だ。午前中の空気はまだ温まっていない。日差しはそれなりに強く、直射日光に肌が熱せられるが、切る風は冷たく爽やかだ。夏山の稜線歩きのコントラストほどではないが、かなり気持ちが良い。帰り道はもう空気が温まってしまい、この感覚は得られない。

数年前から、通勤に自転車を使っている。始めは幹線道路を走っていたがスピードを出して並走する車があまり気持ち良くない。そこそこにまっすぐ走れて、車の往来がそれほど多くない裏道を地図で探索して走るのが一番気持ち良い。大田区大森の自宅から広尾まで10kmあまり、約40分かかる。電車だと二回乗り換えなくてはならず、駅まで歩くことを含めば自転車より時間がかかる。

以前勤めていた大学は小金井市にあり、大田区から多摩川の土手沿いに32km、1時間50分ほどかかる。往復するとさすがに筋肉がパンパンに疲れるが、慣れるとそれほど辛くはない。それに比べれば広尾までは日常の運動としてはちょうど良い負荷だ。ジムに通い自転車を漕ぐことを考えれば
a)通勤時間を兼ねて時間の節約になる、
b)お金もかからない、
c)環境にも優しい、
それに何よりd)健康的で、良いことずくめだ。

私は5年ほど前から自転車通勤を始めたが、都内の通りにもだんだん通勤自転車も増えてきているようだ。ふつうのママチャリではないスポーツ自転車。よく人から「すごい!」と言われるけれど、ママチャリとスポーツ自転車は別の種類の乗り物と考えた方が良い。乗り心地が全然違うし、慣れれば腰や手足への負担も少ない。自転車本体の重量がママチャリの半分以下で、変速ギアをうまく使えば無理なくスピードも上がる。私はジョギングやマラソンは息が上がり嫌いなのだが、自転車では息が上がらないレベルの運動を長い時間継続できる。ちょうど良いエアロビック(有酸素)運動だ。電動自転車を買うくらいなら、スポーツ自転車の方がずっと良いですよ。スピードも後者の方が早いし。

私は2台のスポーツ自転車を使い分けている。小金井市との長距離、多摩川サイクリングロードを往復するときはAnchorのロードバイクを使う。本体はカーボン製で軽く、ドロップハンドルで前傾姿勢をとれる。慣れないと難しく感じるが、慣れるとかえって楽になる。タイヤは細く、ノンストップでスピードを上げて走るのに適している。もう一台はミニベロと呼ばれ折り畳み自転車(BD-1)。タイヤの直径が短いので漕ぐのが大変でしょうとよく言われるのだが、そんなことはない。自転車のスピードはペダルを一回転するのにどれくらいの距離を進むかで決まるわけで、タイヤの直径ではなく変速ギアのギア比で決まる。ロードやクロスバイクと遜色なくスピードを出すこともできるし、あっという間に折りたたんでカバーをかけ、電車に持ち込めるのが市街地に向いている。

自転車通勤は四季を問わず一年中楽しめる。暑い夏でも風を切れば強制空冷が働くので案外暑さを感じない。熱せられたアスファルトの地面を歩く方がよっぽど暑い。でも、信号で止まると汗がじわっと吹き出すのがよくわかる。逆に寒い冬は防寒手袋に防寒シューズなど装備を整えれば問題ない。さすがに漕ぎ出してしばらくは寒さが身体に浸みるが、20分も漕げば身体の中から熱が生産される。顔にあたる風は冷たくても、身体の中はポカポカという感覚は自転車特有、あるいはスキーにも似ている。

暑さ・寒さはそれほど気にならないが、雨と風は大敵だ。カッパを着込めばできないことはないが、視界が悪くなり、スリップするから危険だ。自転車を始めてから、朝に必ず天気予報をチェックするようになった。降雨の可能性があれば電車に切り替える。何度か途中で降られ、悲惨な思いをしたことがあるからだ。
風にも影響を受ける。徒歩や自動車ではあまり感じないが、向かい風を受けると全然進まず、ペダルが重くなる。逆に追い風だと空を飛ぶようにスイスイ進みとても気持ちが良い。
あと、坂道が大変でしょうとよく言われるのだが、これも大丈夫。ママチャリで坂を登る感覚とは全然違う。坂道に差し掛かり、ペダルが重くなったら早めにギアを落とすのがコツだ。スポーツ自転車には最低7-8枚のギアが付いている。ギアを落とせばスピードも落ちるのだが、かなりの急坂でもスイスイとゆっくり登ることができる。

数年前から雨の日と、帰りに飲む日以外は、ほぼ毎日自転車を使うようになった。電車の中で本を読んだり、途中駅で寄り道できないのが不便だが、窮屈な満員電車よりはるかに気持ちよく通勤時間を過ごすことができる。しかも、体重がかなり落ち、体形が変わった。

みなさんもお勧めですよ!
自転車談義になるとついしゃべり過ぎますなあ(笑)。

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