「 子どもと家族に寄り添う支援 ―愛着と家族療法―」
というテーマで講演しました。
参加者からのアンケート(振り返り)が届きましたのでご紹介します。
- 教員として、親として・・・どの立場で参加したら良いかわからず、なかなか参加できませんでしたが、どの立場でも参加できる研修会で自分自身色々なことを考えるきっかけとなりました。
- 「ひとぐすり」という最初の言葉が印象的でした。関係が個を痛めつけることもありますが、逆に守り立ち直らせてくれることもあると思います。そのようないい関係を作っていくこと、そしてそのことを支援していくことを心がけていきたいと思います。
- 薬ではなく人と人の結びつきについて教えていただきありがとうございました。自分が暖かい気持ちになりました。
これは斎藤環が言い出した言葉です。(彼は日本を代表する精神科医で、私の大学時代の後輩です。)
彼は最近オープン・ダイアログに凝ってまして、その考え方を表す言葉としてよく言い当てています。
ふつうの医者はクスリを使って病気を治そうとします。
人薬という言葉で伝えたいことは、薬ではなく、人との関わりによって病気を治すという考え方です。
うつ病、パニック障害、統合失調症、発達障害、アスペルガー、、、
さまざまな心の病気は、いったい何に由来するのか?
本当の真相はわかりません。
仕方がないので、精神科医やカウンセラーなど心の専門家は仮説を立てて支援します。
脳の働きに由来するという仮説を立てれば、脳の働きに効く(とされている)薬で治します。
人との関わりに由来するという仮説を立てれば、人薬でで治療します。
つまり、人と人の関わりを支援します。
それが家族療法(システム・ズアプローチ)です。
人との関わりは薬にもなるし、毒にもなる。
と言われれば、誰でも経験上納得すると思います。
遠い人との関係はそれほど影響しません。
近い人、例えば家族・友人・学校や会社の関係者などとの関係が影響します。
毒になっている場合、それを薬に変えます。
果たしてどうやってそんなこと出来るのでしょう?
- 心の安定、人とのつながりの大切さを教えていただくことができました。自分をさらけ出して人と結びつくことで、安心した生活を送ることができることを改めて感じました。
- いつも自分が大切にしている「安心安全基地」をどう確保していくかということを改めて考えました。一朝一夕で安全基地を築くことが難しいケースもたくさんあり、いつも試行錯誤していますが、あきらめずに一人一人の人達の語りを大切にしていきたいと思います。
- 周囲の安心がないと冒険できないとの話から周囲にいる家族・大人のあり様が問われていると思いました。「愛着形成されると生きる価値があると感じられる」本当にそうだと感じます。子供を見守る、声をかける、居場所をつくる・・・私たち大人が安心したり、心の温度をあげられるよう自分自身をケアしたり、客観的に見つめたりしたいと感じました。
- 「愛されている」という思いがないと 外に向かって冒険できない。安心できる場所・人の大切さを改めて感じました。 不安のシャワーを浴びせてしまうことのないように。 人くすり、自身の心の安定を図っていきたいと思いました。
愛着理論における安心な愛着(secure attachment)を説明する比喩として、私がよく使う言葉です。
南極の昭和基地が暖かく癒される場であれば、越冬隊員たちは南極点めざして探検できます。傷ついても戻ってエネルギーを補充できる場所があるからです。
昭和基地が寒く辛い場所であれば、とても外に探検に行くことはできないでしょう。
もともとは3−4歳の幼児が親から離れて探検し、また親の元に戻ってくる姿から見出された概念です。
思春期は親の庇護から離れ、冒険して自立する時期です。冒険するためには、基地が安全であることがとても大切になります。
- 「自分自身の気持ちが安心していること」 不登校や発達障害のある子供たちと関わるときに意識(自覚)しながら関係作りをしていこうと思いました。
- 田村先生の話を聞くだけで、あたたかい気持ちになれます。
私は、愛着の深い意味を温かさ・冷たさの比喩で説明します。
安心とは、根拠のない肯定的な未来予測です。
不安とは、根拠のない否定的な未来予測です。
困難に直面して、これから一体どうなるんだろう???
きっとマイナスになるかもしれない、危ないよ、怖いよ、、、不安です。
まあどうにかプラスになるんじゃないだろうか、大丈夫だよ、、、安心です。
心の温度は身近な人の間で、意図せずとも伝わってしまいます。
不安(冷たさ)は相手も不安にしてしまいます。
安心(温かさ)は相手も安心にさせる力を持っています。
- まずは自分自身の「安心」とは何か考えたいと思いました。心に問題を抱えた子ども、それに関わる人たちとの関わり方について新たな発見ができました。
安心を作り出す薬はありません。
人と人との関わりの中で、安心を作り出すことができます。それが人薬です。
それがどういうものなのかを言葉で説明するのは難しいのですが、講演では私が実験台になりました。
私の不安や痛みをみなさんにお話ししました。
多分、みなさんは私が普通に、堂々と講演しているようにお聞きになったと思いますが、
私は内心ドキドキでした。
ここまで話してしまって良いものだろうか、、、
迷いましたが、決心して話してしまいました。
私の正直な姿をみなさんにお伝えしました。
プラスの部分だけでなく、マイナスの部分、悲しみや痛みや不安もたくさん含まれています。
私にとってはとても痛く、恥ずかしい話なのですが、みなさんがわかってくれたということは、多分みなさんにも同じようなことは起こりうる、想像できることなんだと思います。
それをみなさんが聴いて、受け止めてくれました。そのことが私の心を温めてくれます。
みなさんが、私の心を温めてくれて、
私も、みなさんの心を温めることができました。
- 先生の人となりはよくわかりましたが、具体的な話については先生ともう少し深くかかわらないとわからないかなと思いました。本日の学習会は、先生との出会いということで感謝しています。
- 田村先生の人柄等はよくわかりましたが、家族療法についてもっと知りたかったです。
私も、今回の講演はみなさんとの出会いと位置づけていました。
私が人と関わり、支援する基本理念をご紹介しました。
各論はこれからですね。
講演でもお話ししましたが、吾妻は私の心のふるさとです。
とても安心して、落ち着ける場所です。
この場所で、みなさんと一緒に対話できることを嬉しく思います。
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