3月初旬の時点で最前線一般市中病院で勤務している医師としてCOVID-19に関する考えです。
コロナコロナで騒がしいですが、基本、風邪の一種です。我々個人個人が自己防衛するべきものです。つまり普段から風邪やインフル予防でやっている、まめな手洗い、手指消毒、うがい、お茶や水分を摂ること(鼻腔~咽頭を洗う)、栄養摂って睡眠とる、なるべく人混みに行かないことなどで十分と考えています。どうしても人混みに行くときにはマスクをして行けばいいです。
しかしマスクは基本他の人に飛沫を飛ばさないことが目的です。自分が風邪にかかっているかもしれないからです。本格的に防御しようと思ったらN95マスクでないと意味はありません。
自粛も500人以上のイベント(東京都の方針)くらいでいいのではと思います。現在10人くらいのイベントまで中止されてますが、確率的に言っても自粛はまったく意味ありません。いまの自粛ブームははっきり言ってやり過ぎです。日本人は総右へならえ主義なので、しょうがないかもしれませんが。ライブハウスが報道されたために世のライブハウスがみな悪者みたいにされているのも酷いものです。
ほんとに注意すべきは糖尿病、COPD(肺の病気)など持病を持った人、透析患者、免疫不全患者、栄養不良の高齢者といった方で、ひとことで言えば“抵抗力の落ちてる人”です。これらの方々は昔から感染症には要注意の人達です。
もっと検査を、検査を!と騒いでいる人もいますが、そんなに検査してどうするの? 今の方針は、風邪から肺炎を生じて短時間に悪化した患者さん(風邪症状と全身倦怠感が特徴)で、とくに先ほどの抵抗力の落ちた患者さんに検査をして、コロナの診断ついたらきっちりとしかるべき医療施設で治療する、です。一般の元気な人が風邪ひいたら、家でかぜ薬飲んで暖かくして寝ててください。
韓国でドライブスルーみたいに検査するのをテレビでやっていましたが、なにバカやってるのと思いました。意味ない検査して患者数を増やしているだけです。問題は、検査したうちの何人が陽性かではないでしょうか?埼玉県で今まで(3月6日現在)200件弱のPCR検査されていますが、陽性は(たった)4件(2%)です。
テレビで四六時中危機感をあおっている素人のコメンテーターにも呆れます。どれだけ恐怖ホラー話しをすれば気がすむのか?! こんなテレビ見てたら、国民全員が疑心暗鬼になって心も暗あ~くなってしまいますよね。
ちょっと長々書きましたが、あまりにいい加減な本筋とは外れた情報が溢れ回っているので意見しました。家に閉じこもっていないで、グランドでサッカーでもキャッチボールでもドッジボールでもすればいいのです。マスクなしで。
私の精神科外来でも、多くの患者さんたちが「コロナが怖くて仕方がない」と訴えます。
人は、知らないことに不安・恐怖を抱きます。
不安感は安心感を凌駕します。
そして不安感は人々の間に伝播します。
今の状況はウィルスのパンデミック(世界流行)というより、不安のパンデミック(世界流行)と言えるでしょう。
<解説>
疫学用語の「流行」は3段階あります。
- Endemic (エンデミック)「地域流行」:比較的狭い地域での流行。「特定の地域やグループに限られている」という意味で用いられ、危機感はない。
- Epidemic (エピデミック):より広い地域(ある国単位など)で広く流行して危機感があるような状態。
- Pandemic (パンデミック)「世界流行」:流行範囲が世界規模に広がる。
深刻な表情で、「パンデミックの脅威が非常に現実味を帯びてきた」と。
つまり、ウィルス感染症はまだパンデミックではないけれど、ニュースを流し、それを受け取っている人々の不安は既にパンデミック状態です。
<追記>
上記を書いた翌日(3月12日)にはWHOから「パンデミックだよ!」と発表がありました。と、テレビのニュースで大々的にやってますよ!!
私は先週末、緊急事態宣言が出された北海道でスキーを楽しんできました。マスクなしで。
羽田-札幌便は2割程度の乗客で、普段は外国人で賑わうスキー場も閑散としていました。
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この記事を書いた後、色々な反応がありましたので、別の記事にまとめました。
不安な世の中で安心感を保持する方法
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