2011年11月20日日曜日

優しい先生

先日、〇さんが先生のクリニックに相談に行ったと聞きました。
〇さんとは先日ひさしぶりに会い、いろんな話が出て田村先生のクリニックを紹介するという経緯になりました。
〇さんは「すごくすごくしゃべりまくったから、田村先生にどん引きされたらどうしよう・・」って気にしていたので、「そんなことはないよ~。田村先生は優しい、いい先生だから大丈夫だよ、と伝えました。」

確かにたくさんしゃべっていましたけど、どん引きしませんから大丈夫(笑)。
優しさは、精神科医やカウンセラーの基本です。
お医者さんの中には患者を怒ったり、叱ったり、ずいぶん怖い先生もいますからね。確かにちゃんと病気を治すためには先生からの指示を厳しく伝えることも必要かもしれません。しかし、精神科の場合には論外です。
心の治療のために、セラピストが心がける一番大切なことは信頼関係です。この先生は話を聞いてくれる、理解してくれているという安全・安心感をまず注意深く樹立します。そこからカウンセリングがスタートします。

でも優しさって何でしょう?
何でも聞いてくれ、わかってくれる先生。
つまり、クライエントの語ることを理解し、その背後にある気持ちを共感することです。
しかし、ここで注意しなければならないのは、クライエントの言いなりになることではありません。たとえば、
・リストカットをしてしまう
・お酒を飲み過ぎてしまう
・家族にイライラをぶつけてしまう
・子どもを注意できず、過保護になってしまう
などなど、明らかに好ましくないことに対して、「それは良くないからやめなさい」と直裁には言いません。
かといって、それらを認めるわけでもありません。
そこにはそうせざるをえない、あるいはどうしてもそうなってしまう経緯があるはずです。ご本人も好きこのんでやっているわけではないのでしょう。そのあたりの事情や気持ちを丁寧に伺います。すると、当初はいかにも「好ましくない」と思っていたことでも、「なるほど、そういうことだったのですね」と腑に落ちることがある。そうやって、まずクライエントの深い気持ちに降りてゆきます。そこからスタートして今後どうしたら良いのか、解決策を一緒に探ります。

その作業は、想像以上に厳しいものです。それをやり遂げるために、クライエントとセラピストの間の信頼関係を築くことを心がけます。それは、クライエントにとって優しさと受け止められるでしょう。
しかし、それは同時に厳しいものでもあります。

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