2011年11月13日日曜日

思春期の親子:親のエンジン・子のエンジン

先日、ある小学校で講演した際のPTAのお母さんからのメールを紹介します。

先日は、ご多忙のところご講演を頂き誠にありがとうございました。無事、大好評のうちに講演を終えることが出来、感謝申し上げます。
実は、私は今まではこのような講演には参加したことがなかったのですが本当に先生に来て頂いてよかったです。参加者から先生の講話が今までで一番良かった!という常連の方の感想も見受けられました。私も我が子の成長には日々忍耐と疑問・葛藤の連続です。皆様と同じような悩みを共有し、先生のアドバイスを伺って、とても心強くなりました。私のような母親には、というよりも、思春期前の子供を育てる全ての親に聞いて頂きたい内容でした。
帰宅後、さっそく「待つ」を実行してみました。相変わらず、子供は好きなようにやっていましたが、数時間後、私の顔色を覗ってなのか自ら行動し始めました。ただ、この場合は、私の無言の圧力を察知して行動したので、自分のエンジンを使ったとは全く言えないのですが、私も少しずつ先生に言われたことを実行してみようと思っております。

この講演会で使ったスライドをウェブサイトにアップしたいと思います。
「待つ」についてだけ簡単に解説すれば、思春期はやる気(原動力)親のエンジンから子どものエンジンに付け替える時期。親のエンジンを使っていたら、子どもは自分のエンジンを試すことができない。子ども自身のエンジンを始動させるためには親のエンジンを切り、子どものエンジンが始動するまで待たなくてはならない。まだ調子は良くないからエンストを起こしたり結構時間がかかる。その間、親が待てるかが正念場、、、という主旨でした。

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(追加:1月9日)

思春期は、子どもの心大人の心が入り交じった時期です。
親が子どもの心に働きかけると、子どもは甘え、怠惰に流れ、自分から積極的に動こうとしません。
その反対に、親が大人の心に働きかけると、自分の将来を考え、自分からやる気を出して動き出します。

子どもの心に働きかけるとは、どういうことでしょう。
子どもはまだ未熟だから、一人ではなにもできず、親がついてないとダメと考えます。
朝は目覚まし時計をかけても自分からは起きないので親が起こし、「勉強しなさい」、「ああしなさい」
・「こうしなさい」と細かく注意します。子どものことはすべて把握しないと気が済みません。
子どもは親のエンジン(動力)で動いている状態です。

大人の心に働きかけるとはどういうことでしょう。
わが子はまだ未熟な部分もあるけど、しっかりした部分が育ち始めていると考えます。親がついてなくても子どもは自分のことをできるはずだから、あまり子どもに口出しする必要はありません。良いことをしたとき、うまくいったとき肯定的に認めてあげます。

不思議なもので、親やまわりの大人たちが、子どもの心にたくさん働きかけると、子どもの心が温存され、なかなか大人に切り替われません。逆に、大人の心に働きかけると、その部分がどんどん育成されてゆきます。

しかし、そううまくいくとは限りません。
子どものエンジン(動力)は、まだ使い始めたばかりなので、うまく動かないからです。出力(パワー)も不十分だし、ときどきエンスト(故障)してしまいます。その時、親はどう対応したらよいのでしょう。
子どもが持つ潜在力を信じることができれば、子どものエンジンが故障気味でも親は手を出さずに見守ります。すると、多少の時間はかかっても、子ども自身で何とか立て直して、だんだんパワーを上げてゆきます。
それを待ちきれない親は見ておれないので、つい親のエンジンを貸してしまいます。あれこれ口出しをして、親の指図で子どもが動きます。しかし、それは子ども自身のやる気ではなく、親に動かされているだけです。思春期前の小さな子どもなら、それで良いのですが、思春期になっても親が相変わらずエンジンを貸してあげると、子どもは自分のエンジンを試運転する機会を失ってしまいます。

車のエンジンは、基本的にひとつです。ふたつエンジンがあるとうまく動きません。どちらのエンジンを使うのか、その争奪戦が反抗期と呼ばれている親子バトルです。

結論としては、
  • 子どもの潜在力を信じて、待つこと。
  • 自信を獲得できるように、肯定的な側面を見出し、評価すること。
このふたつが何より重要です。

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(余談)
私の長男は高3。これから大学受験です。
35年前の私自身の入試を思い出します。
ひとりで受験する大学の近くに宿をとり、初日の学科試験が終われば二日目は面接と小論文。間際に勉強することもなく、ひとりで近くの映画館で暇をつぶしていました。
旅館は同じ大学の受験生ばかり。その中に、私と同じ学部を受ける受験生がいて、母親と一緒に泊まっていました。私は入試で母親と一緒なんて考えられませんでした。そいつは受かりませんでしたが。

(余談2)
去年まで勤めていた大学では、入学試験は付き添い者は大学構内に入れません。1月の寒空の中、子どもを構内に見送った後、帰らずに試験が終わるまでずっと寒空の中、校門付近で待っている保護者が毎年数十名います。
そんなもんなんでしょうかね。私は信じられませんけど。

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