2011年7月19日火曜日

グループの力

田村毅研究室では個別のカウンセリングばかりでなく、グループ活動(セミナー)に力を入れています。

  1. 思春期子育て塾:思春期のお子さんをお持ちの親が集まり、普段の子育てや子どもへの関わり方について話し合います。このような子育て支援・親教育のプログラムは子どもが幼い乳幼児期にけっこうありますが、思春期に焦点を当てたセミナーは他では見られません。
  2. 男のメンタル・トレーニング:女性は子育てサークル、PTA活動、女子会などグループの話し合いが得意ですが、男性は孤立しがちです。社会人として、家庭人として、男性の気持ちを共有できる仲間が集まり、本音を語り合います。
  3. 心の支援者向け月例研究会:多職種・さまざまな経験を持つ心の支援者たちが、集まった方々のニーズに基づきテーマを設定し、相互に学び合います。

学校では先生の話を多くの人々が聞きます。知識や情報は先生から学生へ一方的に流れ、参加者が自分の考えや体験を語る機会は通常ほとんどありません。
客観的な情報を伝えるには効率が良いのですが、心理学は個別性が高い学問分野です。原理・原則を理解しても、個々の場合へなかなか応用できません。

個別カウンセリングはカウンセラーにたくさん話を聞いてもらい、ニーズに即したアドバイスや指導を受けることができます。しかし1対1の関係はちょっと緊張します。高い相談料を払い、個別に相談するほど困り感が大きいというわけでもなく、ちょっと行き詰っている程度。他の人はどんな風にやっているのか知りたいという方には敷居が高いかもしれません。

田村研究室のグループ活動は数名から12-3名ほどの人数です。それ以上多くなると、人前で話しにくくなります。
グループではカウンセラーだけでなく、参加者が相互に理解し合えるという安心感を得ることができます。専門家でなくても、同じ体験を持っていることが大きな力を引き出します。思春期の子どもを抱えている体験、あるいは心の支援を行っているという共通の立場が高い共感性を与えます。それに比べると「男性」という共通項はちょっと弱いように思えますが、実はタテではないヨコの目線から、批判されずに語り合えることがとても大きなパワーを導き出します。

グループで話し合っていると、「あっ、それ私も!」と思わず話さずはいられなくなる場面によく遭遇します。自分だけの悩み、うちだけの問題と思っていたことが、案外みんなに共通していることがわかり、ホッとします。

  • 自分だけの特殊な「ありえない」問題には、解決策が見つかりません。
  • それが、ある程度ふつうの「ありえる」問題に転換されれば、解決策も自ずから見えてきます。

他の人の話につられて自然に話し出してしまう自分の中で何かが変わります。それはカウンセラーや指導者から気づいてもらおうと意図的に届けられるメッセージではありません。他の人が自分自身のために発した言葉を、自分の中に取り込んで、自分で自分のための何かを見出すことができます。

グループという場の雰囲気に馴染みにくい、むしろ1対1の方が気楽と思う人もいらっしゃると思います。そこはファシリテーターである私の役目です。自助グループ(ファシリテーターがいない仲間だけのグループ)とは異なり、うまい具合に雰囲気を作っていきます。

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