2013年4月18日木曜日

ひきこもりと家族の危機

A君のお父さんがお礼に来てくださった。

高校生だったA君はエンジンが停止してしまい、なにも気力がわかず、学校にも行けず、家にひきこもり無為な日々を送っていた。始めお父さんが相談に見え、A君もやってきた。始めは親に言われて渋々やってきたが、途中から気持ちの奥底を語るようになった。
およそ1年間、A君とご家族が相談にやってきて、エンジンが再びゆっくり始動し、この春に希望していた大学に進学することができた。

先生のお陰です。どうもありがとうございました。

いや、私の力ではないんですよ。
まずお父さんがきっかけを作り、A君自身が見知らぬ外部の専門家をうまく使いこなして、自分のエンジンを始動させたんですよ。私はそのきっかけに過ぎません。

今だから言えるけど、あの頃は本当に家族の危機だったんですよ。

ひきこもりは本人にとっての危機であり、家族全体にとっての危機ですね。
でも、その言葉は今までお父さんから出てきませんでした。
危機を乗り越えたから、危機だったことを振り返ることができるのですね。
危機の渦中にいると、今、危機状態にいることさえ気づかないのかもしれません。
自分たちがどれほどタイヘンな状態にいるかわからないほど、大変なんですよ。

ふつうに暮らしていても、さまざまな危機がやってきます。
大震災のように外部から。
家族の病気・障害・事故のように内部から。
危機がやってくるのが問題なのではありません。
大切なのは対処行動をとれるか否かです。
危機に圧倒され、立ちすくみ、凍ってしまい、守りに入るか。
危機に向き合い、正面から攻めても無理なので、外部の支援を求めるか。

危機は、必ず乗り越えることができます。
それを、レジリエンス(人が困難から立ち直る力)と言います。

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