2013年6月2日日曜日

父親の反省と世代間伝達

Aさんは奥さんといっしょに、子どものことについてカウンセリングに通っています。
始めの頃は奥さんに説得され、「話すことなどないから!」と消極的でしたが、今では自分の体験を積極的に語るようになりました。

私が反省するとしたら、今までーー子どもが小さかった頃ーー家族や子どものことに関心が向かなかったんです。

でも、それはお仕事が忙しかったからでしょう?

もちろんそれもあるのですが、もっと大きな要因がありました。
自分の父親は、全く家庭に興味がない人でした。

でもその時代、多くの男性はそうだったのでは?

いや、その時代に男性はソトの役割だったとしても、多少は家庭にも関心をもつものでしょう。でも、私の父親は違っていました。外ではとても良い顔をして、みんなから「良い人だね!」とほめられ、地域の名士として活躍していました。でも家のことはぜんぜん関心を向けず、すべて妻に任せていました。
だから、父は私を含め子どもたちに関心を向けませんでした。好きとか嫌いとか、厳しいとか優しいとかいう次元の話ではないんです。ただ単に関心がなかっただけなんです。

なぜかというと、私の祖父(父親の父親)もまた同じでした。ソトではとても活躍して有能な人だけど、家には興味を持たない人だでした。

父から息子へと、世代間で伝達しているんですね。
別に遺伝子レベルで伝達されているわけではない。
家庭内の生活習慣が親から子へと受け継がれたのでしょう。

ここまで来るのに、すごく大変だったんですよ。

それは、よくわかります。
Aさんと奥さんの力で達成されましたね。
Aさんが今、はこうやってとても熱心に家族のことを考え、語っていらっしゃる。それは素晴らしいことだと思います。ご先祖さまから受け継がれてきた伝統を、ここで断ち切ったのですね。
Aさんが変わることで、夫婦関係も、親子関係も、きっと変わることができます。

今さら、もう遅い。。。

ということはありません。
いつでも、挽回することは可能です。

今の世の中、男性も家庭に関わるべしという価値観に変化してきました。
もしAさんが語らなければ、相変わらずそのことを避けていると奥さんや子どもから後ろ指をさされます。Aさんご自身も家族に関わる気持ちが削がれてしまいます。

逆に、こうやってAさんが語れば、少なくとも家族のことを考えているわけですから、きっと奥さんや子どもも内心ではとても評価しているはずです。
Aさんが悪いわけでも、Aさんのせいでもありません。
もっと大きな時代を超えた枠組みの中のひとつの現象に過ぎないわけですから。

しかし、だからといって、即、家族のコミュニケーションの回復につながるわけではありません。
長年培われてきたコミュニケーション・パターンはそう簡単には変えられません。
でも、少なくとも解決の糸口がはっきりと見えましたね。
このAさんの反省をもとに、夫婦で、親子で、何ができるのかを語り始めることができます。
それが、解決への道すじです。

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