2013年6月6日木曜日

ひきこもり脱出講座(第2回)「子どもに関わる勇気」

「ひきこもり脱出講座:家族の力でひきこもりを解決しよう」

第二回のテーマは「親子関係」でした。

ひきこもる子どもにどう働きかけたらよいのか、どう関わったら良いのか私からお話ししました。

第一に、現状について。毎日どう接しているかをみなさんで紹介しました。
  • 親子が良い関係で一緒にいても気にならない方
  • 子どもとの接触は極力避けている方
  • 不自然にならない程度にひとこと言葉をかけるくらい。差しさわりのない話題を話す。しかし、核心の話は言わないようにしている方
などがいらっしゃいました。
特徴的だったのはお子さんとの会話に気を遣い、遠慮して、緊張している方が多くいたことです。
  • 以前は怒って大変だったから。
  • 子どもを追いつめたり傷つけたりするかもしれないから。
第二に、今後の可能性について。
ホントは子どもにどう接したいのだろうか?親としての本音の気持ちを紹介し合いました。

グループと話し合う中で出てきたのが「勇気」でした。これが今日の裏のテーマです。

親が勇気を持って子どもに向き合えば、その勇気が子どもに伝わります。

ひきこもる人は、他者と関わる大きな不安を抱えています。
ひきこもることによって、自分が傷つくことを防御しています。
人と交わることで傷ついた体験があり、それをまた繰り返したくありません。
それを乗り越えるには勇気と希望が必要です。
また失敗するかもしれないという予想(=不安)があれば、敢えて危険を冒して外に出ようとはしません。
もしかしたらうまくいくかもしれないという予想(=希望)があれば、リスクを多少は冒す気持ちにもなれます。

Q)外に出る勇気とか元気は自然に出てくるものなのでしょうか?
Q)本人が気づくきっかけがあるのでしょうか?

いいえ。
ひとりだけだと勇気は出てきません。
きっかけが必要です。他者との交流が必要です。
自分を出して相手に否定されると、傷つき、自信を失い、不安を持ちます。
自分を出して相手に肯定される体験があると、勇気を獲得できます。

我々は、ひきこもらず普通の生活を送っていれば、さまざま人々との交流があります。
その中で、否定され傷つく体験と、肯定され自信を得る体験を繰り返しています。
傷つき、不安と、生きていくのに必要な自信や勇気と、両方を同時に得ます。
そうやって、不安や生きづらさを抱えながらも、社会の中でどうにか生きていくことができます。

ひきこもると、人との交流が途絶えるので、傷つく体験も、勇気を獲得する体験も得られなくなります。

さてどうしましょう?
唯一、交流できるのが家族であれば、家族との交流の中で勇気を生み出すしかありません。

Q)心に響くような上手な言葉がけの言葉を教えてください。

いいえ。それは、ハウツーではありません。
どういう言葉を使うかということは大切ではありません。大切なのは、どういう気持ちで伝えるかということです。

人と人とが交流すれば、必ずふたつのレベルのメッセージを同時に伝えます。

1)ひとつは言葉の内容です。
これは当然なことですね。誰でもわかります。

2)もうひとつは気持ちです。
これは難しいです。
たとえば「私は不安です」と言葉に表現しなくても、もしその人が不安な気持ちを抱えていれば、その気持ちが相手に伝わります。
言葉で「不安に思わず元気を出しなさい」という内容を伝えても、伝える人のホントの気持ちが不安に満ちていたら、そっちのメッセージが伝わります。
このような気持ちの伝達は無意識の中で行われるのでよくわかりません。自分がどんな気持ちかなんてことも普通は意識してませんし、それを伝えていることもわかりません。相手もそれを受け取っていることもわかりません。でも実際は地下水のように見えないだけで確実に伝わっています。

上手な言葉がけとは、言葉の内容のレベルではないんです。
言葉の背後にある気持ちのレベルでどう伝えるかということです。
それは意図的に伝えることができません。
伝える人が、どういう気持ちでいるのかが関係してきます。
子どもに勇気を伝えたいのであれば、親が勇気を持つことが大切です。

Q)どうやって勇気を伝えるのですか?

子どもに関わる勇気です。
言葉がけの文言(内容)をどんなに工夫しても、その根底に関わろうとする勇気と自信がなければ勇気を伝えることができません。
子どもに関わる勇気と自信が今どれほどあるのかないのか。
それを回復するにはどうしたらよいのかということをグループでやりました。

言いづらいことを言葉にすることで、勇気が出てきました。

そうです!
Aさんはグループの中で勇気を表現できました。
とてもがんばったと思います。

ひとりだけでは勇気は出てきません。
自分を出して、相手に肯定される体験があると、勇気を獲得できます。

まさにそのことをこの講座で実際に体験しました。
とても良かったと思います。

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