2013年5月27日月曜日

世界崩壊体験


支援者という自分が、普段どんな感情を持ってクライエントや自分に向き合っているかなんて考えたこともなかったし、そこに目を向けることから避けていたようにも思います。確固たる哲学があってやっているわけでもなく、その場凌ぎでやってきた感じもあったので、目を向けたらボロボロと砂の城が崩れていってしまうのではないかと思っていたのかもしれません。そんなことが、今回のセッションで少しだけ見えてきた気がします。

「支援者の自己を振り返るWS」参加者のひとりからのフィードバックです。(掲載了承済み)

世界崩壊体験。
これはとても大切だと思います。 (精神障碍者の妄想体験ではなくて、、、)
今まで自分が準拠していた骨組みを脱いでみて、どんな枠組みなのか、その下にあるのはどんな自分なのかを点検する作業です。
ふつう、わざわざ好き好んでそんなことはやりません。でも、心の支援者(あるいは、その分野のプロフェッショナルを目指す人)がプロとしての自信を獲得するには必要なプロセスです。

なにしろ目を向けることを避けてきたわけですから。
目を向けたら、空っぽの自分を見いだして自信を失うかもしれません。とても不安です。
確固たる哲学を体系立てて組み立ててきたわけではないですよね。その場その場での断片的な学びや経験をとりあえず身にまとい、何とかその場を凌いできました。なんだかよく分からないままに、支援者としてやっていけるはずだという仮の自分を作ってきました。改めて、それを点検してみたら、いかにも継ぎはぎだらけの自分がバレてしまうかもしれません。バラさず、見ないでいた方が無難かもしれません。

Scrap and Build。
でも、真の自信は再建していくプロセスから生まれるんですよ。
継ぎはぎだとしても、なんとか枠組みがうまく成り立たせていた要のボルトが見つかるかもしれません。それは大きな安心につながります。
もしかして、何も見つからないかもしれません。それが不安だから崩したくないわけですけど。

今朝のNHKの天野アキちゃんもそうしたよね。
生まれて初の失恋を経験し、世界が崩壊しちゃっています。でも、若い彼女は一週間も経てば立ち直っていく(というストーリーのはず)だろうけど、現時点では完全な世界崩壊体験。我々も似たような経験があるから連ドラを見て共感できます。

村上春樹の作品(全部は読んでいないけど)の共通したテーマでもあります。突然、大切な支えを喪失するところからストーリーが展開します。

悩みや不安を抱えるクライエントさんたちも、自分が大切にしてきたものを失い、あるいは失うかもしれない恐れに立ち止まっています。それは、大切な家族、子どもの将来、夫婦の親密性、自分の子ども時代の宝、自分の将来の幸せ、、、などなど。

児童養護施設の子どもたちは壮絶だと思います。
安全で絶対的に準拠するはずの家族という愛着関係が崩れています。
そこから、どうやって立ち直り、安全な自分の骨組みを作っていくんでしょう。
うまくいく可能性も、うまくいかず失敗するリスクも、どちらも大きいです。

立て直すためには、まず崩れた(崩した)自分を見ないといけないんですよ。
それはとてつもなく不安です。
敢えて向き合うためには、とてつもなく大きな安心感(信頼感、支え)が必要です。

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